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この小説は2020年東京オリンピック大会で開催されることになっていた「野球」に参加するアメリカ代表チームにフォーカスした波乱万丈の物語である。

主人公は日本プロ野球から米大リーグに移籍した日本人投手・藤原雄大(ふじわらゆうだい)。既に現役を退き、現在大リーグ傘下トリプルAチームの巡回投手コーチとして日々のんびりと過ごしている52歳の中年男性。しかし、そんな藤原にアメリカ代表チームの監督を務めるはずだった有名監督の急死を受けて代表監督のお鉢が回ってくる。藤原は、以前から注目していた日系2世・ 芦田大介(あしだだいすけ・19歳)を獲得すべく活動を開始する。

芦田の出身はサンディエゴ。父親の転勤で日本に移住、神奈川県の高校に入学、野球部で活躍。甲子園でも規格外のホームランを連発し、大学野球界でも活躍中のスラッガーとして注目の野球人。藤原から猛烈な加入のアタックを受け、当初は興味を示さなかったものの、高校時代の恩師から言われた「目の前に大きなチャンスが現れた」「掴まない意味はない」との言葉にアメリカ代表メンバーになることを決断する。

しかし、代表チーム内には同じポジションに大リーグ入りを虎視眈々と狙っているアメリカ人選手マーク・デイトンというライバルがおり、ことごとく芦田の言動に敵対意識をぶつける。そんな状況も試合を重ねるにつれてチームの雰囲気も様変わり。最終戦を迎えドラマは最高潮に達する。これ以上は是非読んで頂いて感涙に浸って頂きたい。

三者三様のホーム(居場所)を見つけようともがく男たちの物語。多様性が叫ばれている今、「年を取ったからと言って新しいことにチャレンジしてはいけない法は無いだろう!」との最後の藤原の言葉は中高年に達した人たちへの熱いメッセージと受け取った。

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堂場瞬一著、集英社(2020年6月)
1,700円+税
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