食事が自分を強くする
私たち「ヒト」なる生き物は、毎日三度三度きちんと食事をとることは今では当たり前な食習慣としてとらえられています。しかし、毎日きちんと栄養を考えて食事しているか、と問われ自信をもって答えられる人はそうそういないと思います。
一昔前までは「力をつけたかったらご飯を食べろ」「肉さえ食べていれば筋肉はつく」「運動中は絶対に水を飲んではいけない」という通説がまかりとおっていました。運動中水分補給禁止に至っては「運動に集中していない証拠」と言わんばかり。その根拠は明確でなく今となっては信じられない指導が多くのスポーツ現場で行われていた過去があります。さらに、ジンクスや言い伝えにとらわれたり、験(げん)を担いでいる選手も多くいます。
しかし、スポーツをする人は食事・栄養が適切に管理されてこそトレーニングの効果が発揮でき、健康増進にも寄与すると筆者は強調。その理由として「人間の体は水を含めて食べ物からできている」といたってシンプル。そのためにもスポーツする人は食べることの大切さに気付き、食事が自分を強くすると信じ今すぐにでも食生活改善が大切であると説いています。
本書は第1章ではバランスのいい食事について説明され、第2章では毎日摂取する食べ物の量・質などを解き、第3章では各競技種目による摂取ポイントを簡潔に述べています。さらに随所に図表・グラフが掲載され、とてもわかりやすい構成です。
新スポ連に集う皆さんは、少なくともスポーツに関心がある、スポーツが好きだという点では人後に落ちない人ばかりと思いますが、こと食事については無頓着な方もいるのではと危惧しています。「いつでも、だれでも、どこでもスポーツを」を「いつまでも」に繋がるためにも、一度ご自身の食生活がバランスのあるものかどうかを見直してみることもお勧めしたいです。
「スポーツのひろば」2024年6月号より