あなたの目の前で人が池に落ちました。「助けに行こう」と飛び込みませんか? もし自分が深い水に落ちたら、「助けて!」と叫んだりしませんか? どちらも「ブブー(まちがい)」です。
「じゃあ、どうしたらいいのよ!」と思ったら、この「ういてまて!」を読んでください、いや絵を見るだけでわかるかも知れません。
新スポ連 東京・練馬区連盟
「第22回ういてまてuitemate(着衣泳)教室」
突然ですが、まずクイズに答えてください。
Q1 水に落ちた時、どうすれば良いでしょうか?
A1 大声をだして助けを呼ぶ
A2 じっとして、浮いて助けを待つ
正解は「A2じっとして、浮いて助けを待つ」です。
大声で「助けて!」と叫ぶとどうなるか考えてみましょう。人は肺という浮き袋を持っています。「助けて」と叫ぶと、肺の空気が外へ出て行って浮き袋は小さくなり、体は沈んでしまいます。とくに立った姿勢は沈みやすいのに、両手をあげて「助けて」と叫ぶともっと沈んでしまいます。
では水に浮くにはどうしたらよいでしょうか? 肺の空気をうまく利用して、背浮きで大の字になってじっとしていることです。でも、背浮きで大の字になると、足がちょっと沈んできます。
足は骨と筋肉だけで浮き袋がありません。そこで靴が大事になります。次のクイズに答えてください。
Q2 靴は水に浮くと思いますか?
A1 靴は沈む
A2 靴は水に浮くものが多い
正解は「A2靴は水に浮くものが多い」です。
着ている服もお腹のあたりに空気が入るので浮きます。だから、服を着て靴を履いたまま「大の字」になると浮きやすくなります。これが〝ラッコ浮き〟です。ラッコ浮きのポイントは①背中を伸ばす、②両手は横に開く、③顎をあげる、の三つです。
もし、近くに浮く道具があれば、もっと楽に浮けます。浮く道具とは、(空の)ペットボトル、ボール、カバン・リュックサック・ランドセル、ビニール袋、バケツ、クーラーボックスなど、身の回りにたくさんあります。
靴と服と浮き具を使って、じっと水に浮いて、救助を待ちましょう。
友達が水に落ちたら、泳いで助けに行ってはダメです。浮き具を投げて、ラッコ浮きで浮いてもらいます。それから119番へ通報して救助の専門家を呼びます。救助者がくるまで声をかけて、浮いている人を励ましましょう。
泳ぎに自信がある人ほど、泳いで助けに行きたくなります。でもちょっと待って、浮き具を投げてラッコ浮き、救助の専門家を呼ぶ、これが基本です。
最後にもう一度確認しましょう。
水に落ちたら、あるいは落ちている人を見たら…
①浮いて救助を待つ
②浮くものを投げてあげる
③救助の専門家の助けを呼ぶ
④助けが来るまで励ます
「スポーツのひろば」2015年7-8月号より