聞き書き 世界のサッカー民|スポーツ本Review

世界のサポーターから万国の今を学ぶ1冊

WBCでの侍ジャパンの活躍に皆さん一喜一憂していましたが、昨年(2022年)11月末から12月にかけて中東カタールで行われたサッカーW杯でも日本チームが格上のチームであるドイツ・スペインに勝ち、念願のベスト4に名乗り出るチャンスに日本中が酔いしれたこともあったことを忘れていないと思います。

聞き書き 世界のサッカー民
金井真紀(著)カンゼン 2022年11月
1,870円(税込) 四六判 224ページ

競技人口から見ても、サッカーは野球とは比べ物にならないくらい多くの人が夢中になっています。更にカタールでのW杯の試合は世界196ヶ国にむけテレビ放映され、視聴者は延べ331億人に達したという事からも人気度が高いことが窺われます。

一説によると、世界のサッカー競技人口は約2億6000万人とされており、特にヨーロッパでは人気が高く、世界中のサッカー選手で頂点を目指すプロサッカー選手が沢山いることでも人気の高さが分かります。最近は日本の選手も数多く活躍していますね。

また、サッカーには熱狂的なサポーターが存在することも忘れてはいけません。イングランドのフーリガンはつとに有名ですが、ブラジルや中南米の国のサポーターも良い結果を残しても試合内容が攻撃的サッカーでないと批判することもしばしば。その他にもオランダや韓国なども熱狂的なサポーターがいます。

本著はそんな万国のサポーターを通して、それぞれの国の今と社会の今を見てみたい!と世界各地の「我こそはサッカーを一番愛する者である」と語る人たちにインタビューを試みた一冊です。因みにインタビューした人は、ザ・武闘派、日系ブラジル人、障がい者、イスラム女性、パブの荒くれ者、クルド人、LGBTQ+等さまざま。スタジアムに転がる愛と差別と移民の話が詰め込まれています。

本著が発行されたのはカタールのWC開幕直前のこと、もっと早く出会っていれば大会自体をもっと興味深く観戦できたかもしれないと思うとちょっぴり残念な気持ちでした。森保監督の下、新しくスタートした新生ジャパンの活躍、世界のサッカー界の一面を知る上でも面白い内容が詰め込まれています。是非ご一読を。
(「ひろば」副編集長・園川峰紀)

「スポーツのひろば」2023年6月号より

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