スポーツをする目的には、まず「楽しむこと」があると思います。しかし、もしケガをしてしまったら、楽しむはずのスポーツが、台ナシになってしまいます…。ケガしないでスポーツを楽しむために、しっかりストレッチを実践しましょう。(新日本スポーツ連盟東海ブロックセミナーより)
ウォーミングアップもクールダウンも重要
ケガは大きく分けて“障害”と“傷害”の2つに分けられます。同じ読み方ですが、意味が違います。
障害は、「キッカケはわからないけど、何か痛みがある」というもので、腰痛などの慢性的な痛みがこれに当てはまります。
一方、傷害は、「何かキッカケがあってから痛い」というもの。「アキレス腱を切っちゃった」「捻挫をして?」というような場合です。傷害が障害につながるケースもよくあります。
ケガ予防について押さえてほしいのは、障害を防ぐためにはクールダウン、傷害を防ぐにはウォーミングアップが大切ということです。どちら一方だけではなく、必ず両方きちんとやることが、ケガの予防になります。
体を動かす前はあっためる終わったら冷やす
ウォーミングアップの一番の目的は「体温を上げる」ことです。体をあたためて 血液循環を良くしたうえでストレッチをするのと、何もしないでストレッチするのでは効果が全然違います。多くのアスリートがウォーミングアップで一番最初にするのは「歩く」こと。練習に行く途中でもいいので、ちょっと遠くに車を停めて歩いていく、電車の場合は一駅手前で降りて歩いていくなど、とにかく運動の前にまず歩くことをオススメします。
また、体を動かすだけではなかなか温まらないという時は、物理的な方法を使うのもいいです。例えば、ビニール袋にお湯を入れて腰の上に5分くらい乗せておく、これだけでもかなりの効果があります(特に腰痛の人)。
運動が終わった後(クールダウン)では、蓄積した疲労物質をなるべく早く取り除くためにアイシングが有効です。疲れを翌日に持ち越さないためにも、継続してアイシングをするといいでしょう。よく「腰痛って冷やしていいんですか?」と聞かれますが、原則としては「動く前はあたためる、終わったら冷やす」と覚えておいてください。
ウォーミングアップは筋肉を動かすこと重視
筋肉には「使った直後はゆるみやすい」という性質があります。例えば、ダンベルを持って筋トレしたすぐ後は、その鍛えた筋肉はゆるみやすい状態になっているんです。だから、ストレッチをする前には、まずその筋肉を動かしてから伸ばすと効果的です。
それから、ストレッチをするときに気をつけたいのは、ウォーミングアップとクールダウンとではやり方を変えるということです。ウォーミングアップでは、ゆっくり伸ばしすぎないで、筋肉を動かすことを重視するようにしてください。ゆっくり伸ばすストレッチは、筋肉に「リラックスしなさい」という指令が入ってしまうんですね。そうすると、これから競技をしようというのに反対方向の指令が出てしまうので、準備としてはあまり良くありません。 だから、しっかり筋肉を動かしてあげることが大切です。
逆にクールダウンの場合は、筋肉に「静まりなさい」という指令が行きわたるように、ゆっくりストレッチをするようにしましょう。
では、具体的に何をやったらいいかという話ですが、実際は競技によって、使う筋肉や動作が違うので、必要な準備運動も変わってきます。また、同じ競技でも、人によって弱いところや痛いところがさまざまなので、ストレッチする場所を変えていかなければなりません。そこで、「どんな競技でも最低限これだけは!」というオーソドックスなストレッチを紹介したいと思います。
肩甲骨を動かすように意識しよう肩のストレッチ
筋肉が伸びているのが実感できればOKもものストレッチ
股関節のストレッチ
股関節をいろいろな方向に動かそう
股関節については、四股を踏むように(上図参照)内側のストレッチがありますが、外側(お尻まわり)のストレッチも大切です。
お尻まわりの筋肉を伸ばすには、両膝を胸の前で抱えます。これだけでもストレッチになりますが、もの足りない人はそのままゴロっと転がり、ゆりかごのように揺れます。