「究極の道具・技術」に挑むプロフェッショナル
日本の職人技 松井のバット、藍ちゃんのゴルフクラブをつくる男たち
永峰 英太郎 (著) アスキー新書(2007年)781円+税
イチロー選手や松井秀喜選手のバットを作り続ける職人、久保田五十一さん。30代の頃、唯一自分が作ったバットを使ってもらえない選手がいた。「使っていただけるバット」を作るために、久保田さんは何を考え、どんな仕立てを思いついたのか……。
この本は、トップアスリートを支える「究極の道具・技術」をつくる職人たちの話である。野球・サッカー・卓球・スキー・陸上などの種目から、10人の匠が登場。妥協を知らないアスリートに対して、道具を作る側の職人や商品開発者も一切の妥協をしない。ほんのわずかな重さ・長さ・硬さなどのために膨大な努力を注ぎ込む「トップレベル世界のこだわり」が描かれている。
高橋尚子選手のシューズを手がける三村仁司さん(アシックス)は、彼女の左脚が右脚より8ミリ長いことを知り、右と左で底の厚さが違うシューズを作った。しかし、当人には「違和感があるから元に戻して」と言われてしまう。「同じ厚さにしたら、必ず走りに悪い影響が出る」と確信していた三村さんは悩んだ末、ある仕掛けを施した…。
三村さんは言う。
「選手が期待する以上のシューズを作らないといけないと思ったんです」と。
相手のニーズに完璧に合わせたモノをつくる。さらに、相手のニーズを超えるモノをつくる。両方とも「プロフェッショナル」だと思う。
日本の「モノづくり技術」は素晴らしい、と改めて感じた。もし「スポーツ技術オリンピック」が開催されたら、それこそ日本は金メダルを量産するだろう。
ただ、普段から卓球を楽しんでいる一市民として言っておきたいことがある。
「そんなにどんどんラバーの新商品を開発しないで〜。1枚6千円するラバーは確かにいいけど、毎月買ったら財布が悲鳴を…」