だから、楽天は強くなった
新球団の誕生、首位と51・5ゲーム差という大敗を喫した1年目、野村克也監督時代の成長、東日本大震災…。濃密な9年間だったということが感じられるとともに、楽天というチームに関わっている誰一人として、欠けてはならない存在だったと理解できる。あたたかい東北の人たちの応援も欠かせなかった。そんなことを強く思わせるのがこの著書だ。
第2章「本当の『プロ野球球団』になるまで 2006〜2010年」では、名将・野村克也監督の就任、野球人の基礎を作る「ノムラの考え」、ブラウン監督のアメリカ式投手調整法という内容が紹介されている。一つひとつの歴史の積み重ねが楽天を育て、変化させていった。
第3章は「東北の球団として向き合った『震災』2011〜2012年」として、2011年4月2日に行われた試合前の、嶋基宏選手のスピーチとともに幕を開ける。私も嶋選手のスピーチはとても印象に残っている。
見せましょう、野球の底力を!
見せましょう、野球選手の底力を!
見せましょう、野球ファンの底力を!
ともに頑張ろう、東北!
支え合おう、日本!(一部抜粋)
このスピーチの他にも、嶋選手による二つのスピーチのエピソードが書かれており、「あー、だから楽天は強かったんだ。強くなったんだ」と実感する。
野球は、人生を教えてくれる。生きる力を与えてくれる著書でもある。(向田奈保)
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