BOOK REVIEW「チカラビトの国 —乃南アサの大相撲探検」

相撲の不思議を探る

チカラビトの国 ―乃南アサの大相撲探検
乃南アサ(著)新潮文庫
2003年9月/420円
なんとなく近そうで遠い存在の「相撲」。テレビではよく見るけど、「オレ相撲やってるんだ」という人はあまり身近にいない。そもそもなぜ力士は「ちょんまげ」なのか。なぜ「裸に廻しひとつ」でやるのか。

そんな相撲界の不思議を探るべく、本書では相撲にまつわる面白いトリビアを紹介している。「ハッケヨイは、実はハッキヨイだった」「お相撲さんは“ドスコイ”とは言わない」「取組が進むにつれてしょっぱくなる力水」「春場所はなぜ荒れる?」などなど。

相撲にたずさわる裏方の役割にも注目している。弟子の一生を預かる“親方”、相撲部屋という大所帯を取り仕切る“女将さん”、髷を結う職人“床山”、土俵つくりもやる“呼出し”、大きな服専門の洋品店…。力士というのは、これだけ多くの人たちに支えられているんだと改めて実感する。

ひとりのアスリートにコーチやカウンセラー、栄養士がサポートするシステムは、多くのスポーツで実施されるようになっているが、それを日本でいち早くやっていたのは、相撲ではないだろうか? 親方のコーチに、女将さんのカウンセリング、そしてちゃんこ鍋。まさにこれ、アスリートサポートシステム!

国技と言われる相撲の伝統の重さを感じる一冊である。でも今は、国技というより、日本とモンゴルの「両国技」みたいになっているなぁ(両国でやるから別にいいのか…)。