トレイルランへのあくなき欲望!|スポーツ本Review

山岳ランナー 土井陵 王者の称号
千葉弓子(著)
平凡社 2025年
2,200円(税込)216ページ

日本でも近年関心が高まっているトレイルラン。その第1人者・土井陵のトレイルランへのあくなき欲望をたどる一冊。

物語の始まりは日本では屈指のトレイルラン・TJAR(トランス・ジャパン・アルプス・レース)のフィニッシュ地点・静岡市大浜海岸から始まる。このレースは富山県魚津の日本海から日本アルプスを縦断し、静岡県大浜海岸の太平洋に至る約415㎞(累積標高差約2万7千メートル)の距離を制限時間8日以内に走破する強靭な体力と精神力が求められる過酷なレース。以前NHKでも取り上げられたこともあるので記憶がある人もいるのでは?

山岳ランナー土井陵はなんと本大会で2連覇を果たしている。初めて参加した2021年大会は、悪天候のため途中で中止。この時は終始トップで驚異的な走りを見せていました。そして2022年大会ではなんと4日17時間33分、続く2024年の大会では5日1時間26分でフィニッシュ。

南アルプスを縦走する場合、常識的には高低差やルートを考えると1週間以上かかります。その距離をほぼ半分の時間で走り切るのは並大抵なことではないと思うのが普通の感覚ではないでしょうか? しかし土井を始めトレイルランにはまり込むランナーたちはこともなげにいう「ただ走って、自分の限界を試してみたい」。

本書には、社会人であり家庭人である土井陵の人間性、トレイルランに掛ける思いがアチコチにちりばめられています。そしてトレイルラン普及を図るため新たに仲間と立ち上げた「BAMBI100」(※)というローカルレースを通じて今後のトレイルランの進むべき道を語っています。

※BAMBI100:生駒山で開催される100マイルイベント。「初100マイル挑戦者」「前回完走後5年以上たっている人」が対象、順位はつかないトレイルラン。

「スポーツのひろば」2025年10月号より

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