小学校の運動会、中学校の体育などで、あの直線と曲線の組み合わされた「トラック」を走った経験があるでしょう。1周150m、200m、300m、400mと形と距離もまちまちだったと思います。しかし、全国規模の大会や国際大会はすべて400m。日本陸上競技連盟に認定された競技場でなければいけません。

歴史をひもとくと、トラックが誕生したのは19世紀後半のイギリスと言われています。イギリスでは距離の単位であるマイルを基準として、4周で1マイルになる440ヤード(約402m)トラックが便利で主流となりました。
その後、フランスのクーベルタンによって近代オリンピックが復興され、陸上競技がその中心種目として実施されます。そこでフランスの単位であるメートル法に置き換えられ、端数を切り捨てた400mトラックが主流になったようです。
ちなみに、陸上競技のトラック、スピードスケートのリンク、競輪のバンクもすべて左回り。その理由としては、遠心力による、心臓の圧迫を少なくするため(心臓は胸の左寄りにある)などが言われていますが、はっきりとした根拠はないようです。オリンピックでも左回りに変わったのは、第4回ロンドン五輪(1908年)からで、それまでは実は右回りでした。右回り世界選手権があれば、面白いかもしれませんね。(ひろば編集部)
〈参考〉 岡尾恵市「陸上競技のルールをさぐる」(文理閣)1996年 / 稲垣正浩・谷釜了正(編)「スポーツ史講義」(大修館書店)1995年