リオ五輪、競泳と柔道のメダルラッシュが止まらない日本。萩野公介は一人で金銀銅3つのメダルを勝ち取りました。なぜ日本の競泳は強くなったのでしょうか? ドン底だったのは96年のアトランタ五輪で、誰もメダルには手が届きませんでした。そこからの立て直しが現在の強さにつながっています。
まずは、チーム力の強化。水泳は個人競技がほとんどだから、選手とコーチだけでタコツボに入ることもできますが、日本チームは、仲間がいつも応援に駆け付けています。競技が終わって疲れたから部屋に帰ろうではなく、会場へ行って仲間の応援にまわる。始めに競技がある選手は、いい成績を出して後の選手を励まそうとする。失敗があると、次の選手がそれを取り返そうとする。みんなで上を目指そうというチーム力、それが上昇気流を作っています。いまや流行語になった「手ぶらで帰せない」は、そうしたチーム意識の象徴。リオ五輪ではその松田が800mフリーリレーで銅メダルを手にしました。
次に有能なコーチ陣。北島を育てたことで知られる平井伯昌コーチ、金藤理絵(女子200m平泳ぎで金メダル)の加藤健志コーチをはじめ、分析力に優れ、選手に的確なアドバイスができるコーチが多い。しかもコーチ、トレーナー、選手の間のコミュニケーションもよく、ここでもチーム力が発揮されています。
そして、中心になる選手がいること。アテネ五輪では北島康介でしたが、リオ五輪では萩野公介。二人のコウスケが競泳界を引っ張っています。リオでは最年長の松田丈志(32歳)、サッカーの澤穂希に似ていると言われる金藤(27歳)も加えておきましょう。池江璃花子ら若い選手も育ってきて、今後も楽しみです。(ひろば編集委員・西條晃)