運動すると頭も良くなるし認知症にもならない!|SPORTS×TOPICS

マユツバもののテレビCMではありません。科学的に確かめられた根拠(エビデンス)がある話です。だから「これは個人の感想です」などと変な断りは付きません。

米国の高校での実践です。授業の前にトラックを走るなど、運動を取り入れたことで成績が上がったそうです。学習を助ける運動をすると、頭がすっきりして注意力が高まり、新しいニューロン(神経細胞)が成長し、成績も向上するというのです。

また、昔は「脳が全身に命令を出している」と思われてきました。筋肉も臓器も、脳の命令に従っていると考えられてきたのです。そうした命令と服従のイメージも変わりつつあります。筋肉の側が脳に影響をあたえていることがわかってきました。筋肉が作り出すマイオカインという物質です。マイオカインは筋肉から分泌される生理活性物質で、多くの物質の総称です。わかりやすく説明するために、「メッセージ物質」と表現している本もあります。

よく知られているのは、イリシン(アイリシン)やインターロイキン6などですが、その数は30種類とも50種類ともいわれています。このマイオカインが血流を通じて全身に行きわたり、認知症の改善など健康に効果があることが、大規模な研究を通じて明らかになりつつあります。21世紀の新しい研究成果ですが、この分野はますます研究と発見が進みそうな予感がします。
(ひろば編集委員・西條晃)

〈参考〉ジョン・J・レイティ「脳を鍛えるには運動しかない 最新科学でわかった脳細胞の増やし方」日本放送出版協会2009年/丸山優二「臓器たちは語り合う」NHK出版新書2019年)

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