これまでの栄養学は、「どんな食べ物が体に良いか」ということでしたが、「いつ食べるのが良いか」を考えるのが時間栄養学です。象徴的に言えば「朝バナナ」とか「寝る前の牛乳」もそうですが、もっと深く研究されています。
一日ダラダラとして夜も遅くまで起きてしまう、体調も今一つ良くないという生活と、「朝だ、元気だ、今日もがんばろう」という生活ではまるで違います。その違いを、時間栄養学が解明し、改善の道筋を示してくれます。人間の体の中には、たくさんの「時計遺伝子」があって、バランスをとりながら「体内時計」を回しています。体内時計が理想的な動き方をする食事のとり方をすれば、朝から一日元気で過ごせることになります。
一番良いのは朝食から夕食までを12時間にすること、朝食が7時なら夕食も午後7時です。少しゆるくすると14時間、朝食7時、夕食9時になります。さらに朝食を多くして夕食を少なくする、朝は太陽の光を浴びると、「朝だ、元気だ」の朝型でリズムある生活になります。反対に、朝食抜きや、夜食を食べる習慣は、時間遺伝子の影響で肥満になることが実証されています。
でも「お相撲さんは、朝食抜きだから太っている」という見方は間違いです。朝稽古後の食事と昼寝で筋力をつけています。鍛えられた筋肉で太って見えるだけで、脂肪で太っているわけではありません。「太っているが肥満ではない」とも言えますが、「募っているが募集はしていない」という〝首相の迷言〟とは一緒にしないでください。
(ひろば編集委員・西條晃)