ハンドボールのテクニックの一つに、スカイプレーと呼ばれる技があります。これはコートプレイヤーが足を踏み入れられない半径6mのゴールエリア内で「空中であればこの限り(侵入不可)ではない」というルールを利用し、プレイヤーがエリア内に飛び込み、着地前にパスを受けそのままシュートを放つというもの。
感覚としてはバスケットボールのアリウープのようなテクニックです。当然通常のシュートに比べて難易度は高く、ディフェンスの裏をかくことができるうえに見栄えも派手なので、ゲーム中では見どころの一つともいえます。
この技はかつて全日本のハンドボールチームが、欧米との体格差を埋める策の一つとして国際試合で頻繁に披露していたことから「日本のお家芸」と言われ、後に世界に広がりました。
しかしその発祥は1954年3月24日、西ドイツとスウェーデンの11人制によるチャリティーマッチにおいて、西ドイツ代表のベルンハルト・ケンパが披露したのが最初であるといわれており、技の名も欧米では「ケンパ・マジック」が今でも一般的な呼称。ドイツ発という事実はさすが「ハンドボール発祥の国」というトピックスでもあります。
(「ひろば」編集委員・桂伸也)
「スポーツのひろば」2024年7・8月号より