昨年7月に白紙撤回され、再公募の末、A案に決定した新国立競技場。しかし、聖火台の設置場所がない、サブトラックが仮設予定のまま…という課題を抱え、「おいおい、大丈夫?」と不安の声が出ています。
いや、それだけじゃありません。さらに重大な問題は、五輪開催後に、陸上競技のトラック9レーンの上に、1万2千席の観客席を増設する計画になっていることです。これは「サッカーW杯を招致するために、計8万席を確保できる競技場にしてほしい」というサッカー界の要望に応えたもの。しかし、トラック部分が観客席になってしまったら、もはや陸上競技場としては使えません。そもそも、サブトラックが仮設とされている時点で、国際基準の陸上競技大会を開催できないことになっていました。
「新国立競技場を将来的にどんな施設にするのかというプランは、最初から迷走している」と指摘するのは、2020オリンピック・パラリンピックを考える都民の会事務局長の萩原純一さん。
「陸上界、スポーツ界のための計画になっていない。今の神宮外苑軟式野球場に作る仮設サブトラックを常設にし、別な場所に代替の軟式野球場を設ければ、国際的な陸上大会が開催できるのに」と萩原さんは提案します。
スポーツ連盟は毎年、国立競技場で市民ランナーが走れる大会を開催してきたが、このままではそれが途絶えてしまう。また、利用料が高額になると予想され、競技団体からは『そんな高い競技場は使用できない』との意見も。今こそスポーツ界から「陸上の聖地を残して!」という声をあげる必要があるのでは?(編集部)