なぜ埼玉県だけ遭難救助ヘリが有料化?

2017年3月27日、埼玉県議会で、県内で遭難した登山者を防災ヘリ(県警ヘリを除く)で救助する際に、手数料を徴収するという条例が可決されました。自治体の防災ヘリに手数料が設定されるのは全国初。燃料実費にあたる5万円程度が想定されています。

今回の条例制定のキッカケとなったのは、2010年に秩父山中で発生した防災ヘリ墜落事故。登山者に受益者負担を求めることで、無謀な登山を抑制し、山の事故の減少につなげることが目的と言います。

日本勤労者山岳連盟(労山)事務局長の川嶋高志さんは「防災ヘリを有料化すれば遭難防止の啓発になるというのは、まったくのピント外れ。県境で遭難したら現場が混乱するし、救助隊員の士気も下がる」と強く批判。「また、林業など仕事として山に入る場合は無料で、スポーツ・レジャーとして山に入る場合は有料というのはおかしい。登山は文化。山に登る権利が、ないがしろにされている」と話します。

地元の救助隊関係者からは、「もし遭難者から『ヘリを呼ばないでほしい』と言われたら、どう対応したらよいのか」という声も。秩父地域の観光協会や、労山などの登山団体は、防災ヘリ有料化に対して反対姿勢を示しています。誰もが平等に登山を楽しめる環境をつくるために、もっと現場の意見を取り入れ、見直すべきではないでしょうか。
(ひろば編集部)

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