フェンシングの歴史
中世ヨーロッパの騎士道を引き継いで発展してきた剣技です。銃の発達で剣は衰退しましたが、1750年に金網のマスクが開発され、競技会が開催されるようになりました。オリンピックでは、第1回の1896年(アテネ)から正式種目になっている伝統的な競技です。用語はフランス語が使われています。
3種目
エペ、フルーレ、サーブルはどこが違うかを表にしてみました(図1)。剣のちがい、有効面のちがい、優先権のあるなし、この三つが大きな違いです。剣の違いは、エペとフルーレは「突く」だけですが、サーブルは「突く」に「斬る」が加わります。攻撃の有効面にも違いがあり、エペは全身、フルーレは背中を含む胴体、サーブルは頭・腕を含む上半身が得点になる有効面です。優先権とは攻撃する権利のことで、先に腕を伸ばして剣先を相手に向けると「優先権」が生じます。相手は剣を払ったり、間合いをとって逃げたりして、優先権を消滅させます。優先権のある選手にだけ得点がつきます。エペは優先権がないので、いつでも攻撃が可能です。
オリンピックでは、エペ・フルーレ・サーブルに、それぞれ個人(男・女)と団体(男・女)があるので、3×4=12種目になります。
試合の流れ
騎士道が元になっているので、礼儀も大切です。ピスト(幅は1.5~2m、長さ14m)というコートに入ると、サリュー(礼)、アン・ギャルド(構え)、プレ(準備)、アレ(始め)で試合が始まります。終わりにはアルト(止め)、サリュー(礼)があります。
勝敗の判定
剣の動きがあまりにも速いので、「電気審判器」を使います。判定ランプが点灯し色の違いでどちらの得点かがわかります。
(「ひろば」編集長・西條晃)
(参考資料:「大修館スポーツルール2024」大修館2024年)