人はどれくらい息を止めて潜れるのか|SPORTS×TOPICS

息を止めて潜る人というと、海女を思い浮かべるかも知れません。スポーツにも息を止めて潜るフリーダイビングがあります。

プールの中で静かに息を止めている時間を競うスタティック・アプネア(STA)では、廣瀬花子が7分3秒(2016年2月)という記録を作りました。

フィンをつけて泳ぐ場合は、時間ではなく深さや距離を測ります。フィンをつけて深く潜る方(CWT)では、篠宮龍三が115mの記録(2010年4月)を持っています。

日本の女子フリーダイバーは世界でも活躍していて、2016年9月にギリシアで行われたAIDA世界選手権で、団体優勝しています。メンバーは廣瀬花子、岡本美鈴、福田朋夏の三人で「人魚ジャパン」と呼ばれました。

なぜ、あるいはどうしたら長い時間息を止め、深く潜ることができるのでしょうか。

まず肺活量が違います。篠宮さんは9600ml、女子選手も6000ml前後ですから、一般人の2~3倍あります。水中へ潜るときには、酸素の消費を減らすため抵抗の少ない、しなやかな動きをします。そのしなやかさに相応しいモノフィンという一枚の大きなフィンを使います。呼吸の仕方も大事なので、多くの選手がヨガの呼吸法を取り入れています。

もう一つ、フリーダイバーしか行わない特別な技があります。水中深く潜ったときに、血液を脳・心臓・肺という一番大事なところに集中し、手足の先などの血液が少なくなる「ブラッド・シフト」です。イルカやクジラに近づくトレーニングをすることで、長い時間息を止め、深くあるいは長い距離を潜ることができるのです。

「スポーツのひろば」2023年7・8月号より

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