テニスボールはなぜ缶で売られているの?|SPORTS×TOPICS

テニスをやっている人なら「そんなのあたりまえじゃん!」と思われていることですが、テニスをやったことのない素人から見ると

なぜ試合球のテニスボールは缶詰に入った状態で売られているの? 

どうしてヘソ(空気穴)が無いの?

ナンテいう素朴な疑問があります。

第1の疑問「なぜ缶詰に入っているのか?」
それは製造過程にあります。製造する過程で半分の状態で中に「あるもの」を入れて、空気が入った状態にします。そのあるものとは亜硝酸ナトリウム(NaNO2)と塩化アンモニウム(NH4Cl)。これらを入れたボールの中では化学反応がおこり亜硝酸アンモニウム(NH4NO2)ができる訳です。皆さんが苦手な化学式で示すとこうなります。

NaNO2 + NH4Cl → NH4NO2 + NaCl(→塩です!)

ある人が試しにボールの中身を舐めたところ「しょっぱかった!」そうです。

亜硝酸アンモニウムは熱などが加わると窒素(N2)と水(H2O)に分解され、その窒素がテニスボールを内側から膨らませている訳です。これを同じように化学式で示すとこうなります。

NH4NO2 → N2 + 2H2O

テニスボールの内側からかかる空気圧は約1.8気圧。缶の中は約2.0気圧に加圧されており、テニスボールをより圧力が高い缶の中に入れることでボールの中の窒素が抜けないようにしています。 

最初から亜硝酸アンモニウムを入れれば良いじゃないかと思いますが、亜硝酸アンモニウムは爆発性があり取り扱いが難しいためこのように間接的に発生させているそうです。

第2の疑問は。もうお分かりですね。製造過程を聞けばなるほど納得ですね。

さて、余談となりますが、試合球として使用されるボールは「プレッシャーボール」と呼ばれ、缶に入っているのは窒素が抜けないようにするためで、高い反発力を維持できるという次第。そのため、プレッシャーボールは飛びも軽く、打球感も爽快なのが特徴。ただし、開封するとボール内部の空気が徐々に抜けて、1ヵ月程度で弾みにくくなるため耐久性は低めとなってしまいます。

一方、主に練習用やレジャー用として使用されるボールは「ノンプレッシャーボール」と呼ばれ、ボール内部の圧力は外気圧と同じで、ゴムの厚さを少し厚くすることで反発力を得ています。打球感は若干重いのですが、長時間放置しても反発力が変わらずに使えることや何といってもプレッシャーボールに比べて安いことが特徴と言えます。

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