石川県 加賀藩 城下町・金沢を歩く|ウォーキング日本縦断〈2〉

「軍都」としての顔を探る

多くの観光客が訪れる城下町・金沢ですが、1898年に陸軍第九師団司令部が置かれたため「軍都」の顔も持っています。関連する建物や碑が残る金沢城公園と兼六園周辺をご案内(約8km、3時間ほど)します。

JR金沢駅を出発し、①長町武家屋敷跡を目指します。市内を流れる鞍月用水と大野庄用水に挟まれた一帯は、土塀に囲まれた藩士の屋敷が建ち並び、人気スポットです。次に、和漢洋折衷の神門(国の重文)を潜り、藩祖・前田利家公を祀る②尾山神社へ。裏門を抜けると金沢城の石垣が目に飛び込んできます。

大手門から金沢城公園に入りましょう。ここには陸軍第九師団司令部(悪名高い南京大虐殺に加わった)が置かれ、大手門下に③第七連隊記念碑、④第六旅団司令部庁舎があり、空掘りに架かる極楽橋下に⑤重営倉がありました。数多くの反戦川柳を世に問うた鶴彬(石川県高松町出身。治安維持法で再逮捕され、1938年29歳で没)が拘禁された場所です。さらに⑥日露戦争記念碑や被服庫だった⑦鶴丸倉庫、⑧弾薬庫跡が残っています。

せっかくですから、日本三名園の一つ⑨兼六園(65歳以上無料)を訪ねましょう。小立野口から出ると石川護国神社の大鳥居が見えます。国民を戦争に動員する精神的支柱となった同神社境内には、平和憲法の成立を嘆いて自殺した清水澄博士の⑩顕彰碑や、15年戦争を賛美する⑪大東亜戦争聖戦大碑(2000年「日本をまもる会」などによって建立)など、靖国神社同様、戦前回帰を主張する記念碑の展示場ともなっています。

近くに⑫第九師団司令部庁舎と将校たちの娯楽施設だった⑬偕行社が移築されています。また、三棟の赤レンガ造りは⑭歴史博物館で陸軍の兵器庫でした。県立美術館の右脇奥に建つ⑮第九師団長官舎は、無料の休憩館で、ここで解散です。

余裕があれば、⑯金沢21世紀美術館でモダンアートを鑑賞したり、旧県庁の⑰しいのき迎賓館から、お城の石垣を眺めるのもいいですよ。金沢駅への帰りは、兼六園シャトルバス、ふらっとバスがお勧めです。
石川県連盟は準備会の段階ですが、ウォーキングの仲間づくりを進めています。

「スポーツのひろば」2011年6月号より

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