東京大空襲の傷跡を訪ねて歩く|ウォーキング日本縦断〈1〉

1945年3月10日未明、アメリカ空軍爆撃機B29は、東京下町地区を中心に焼夷弾を雨あられと落とし、10万人余の命を奪い、一夜の内に町中が焼け野原となりました。

生き残った人たちは、死者の冥福を願い、戦争の悲惨を後世に伝えようと、慰霊碑や地蔵尊を建てました。それらの碑は、小さなものもありますが、地元の方たちの手でいつも綺麗にお花が供えられています。今回紹介するのは、そうした「戦禍を残している場所」をたどるコースの一例です。

錦糸町駅を出発し、西に行くと見えるのが大横川。空襲では、下町を縦横に走る河川が多くの遺体で埋め尽くされました。それらの遺体は岸に引き上げられ、仮埋葬されたそうです。

大横川沿いの菊川公園では、現在、保育園の子供たちが楽しそうに遊んでいますが、ここは約4500人が仮埋葬された場所。また、遺体収容作業をする現場だった菊川橋には、この「悪夢」を消し去ることを願い、夢違地蔵尊が建てられています。

800余名の慰霊を弔う八百霊地蔵尊から東に少し歩くと、みまもり観音・重願寺。ここにはB29のプロペラが保管されています。

東京大空襲・戦災資料センターでは、戦災体験を語り継ぐ活動をしています。「目の前で人が燃えながら走って逃げている姿、背中の赤ちゃんが火をかぶり燃えている光景、そんな中で生き残った自分が不思議」と語られます。

東京ウォーキングクラブは、平和運動のひとつとして「戦争忘れちゃいけない」をテーマにしたウォーキングを定期的に行なっています。話題のスカイツリーもいいですが、東京に来たら是非立ち寄ってほしい所です。

「スポーツのひろば」2011年5月号より

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