北海道 北大構内ウォーキング|ウォーキング日本縦断〈124〉

歴史と伝統のポプラ並木と恵迪の森を歩く

1876年(明治9年)に札幌農学校が開校して150年ほど。国内最大の敷地面積を有する学内には新旧の研究棟が立ち並んでいます。200万都市札幌の街中にいることを忘れて、自然公園の中にいるような感じもします。

札幌駅から徒歩5分、大学正門から樹々が枝を広げる緑豊かな中央ローンを流れるサクシュコトニ川に沿って歩き、古い佇まいのクラーク会館を背に中央道を北上。高く聳えるエルムの木陰をポプラ並木に向かうと北の大地に立ち続ける姿は圧巻です。遊歩道わきにはオオウバユリが咲いていて気品のある立ち姿です。春にはエンレイソウ、初夏にはクロユリが咲く花木園は花小路でもあります。

工学部横の大野池のスイレンは夏が花盛りで、思わず足を止める美しさです。この池はカモの親子が羽を休め、ルリイトトンボやギンヤンマが飛んでます。池からイチョウ並木を経て、工学部を過ぎて左折すると旧恵迪寮があった「恵迪の森」に吸い込まれます。

濃い緑に覆われた深い森となっていて、石碑が寮の跡を示すだけとなっています。春には野草の花に満ち、秋には木々の紅葉に包まれる美しい森です。構内の西北端に平成のポプラ並木が聳えています。ここまで来ると手稲山がすぐ近くに見えるので不思議な感じがします。並木の横で羊たちが草を食んでいて、寮歌「都ぞ弥生」に「羊群声なく牧舎に帰り 手稲の嶺(いただき)黄昏(たそがれ)こめぬ」と歌われたのも頷ける気がします。

遺跡保存庭園を抜けて、モデル牛舎としての役割を果たした札幌農学校第二農場を一回り。旧理学部の北大博物館へと向かい、ノーベル化学賞を受賞した鈴木先生愛用の机に触れ、一階のカフェで小休止。西興部産のソフトクリームが人気です。博物館から旧図書館と旧昆虫学及養蚕学教室横を抜けて、古いままの農学部正面で時計塔を見上げると建学の「開拓者精神」が伝わって来るような気がします。古河講堂前のクラーク像の横を抜けて正門まで、5㎞程のウォーキングコースです。

構内は春の野草から秋のイチョウ並木の黄葉、新雪に覆われた雪景色まで一年中楽しめます。ぜひ、歩いてみてください。

「スポーツのひろば」2023年11月号より

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