「メンタル」が弱いのですか?|スポ研所長 やまけん先生のブログ!〈47〉

山崎 健(やまけん先生)
新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所所長。新潟大学名誉教授。専門分野は運動生理学、陸上競技のサイエンス。マスターズM65三段跳&3000m競歩選手兼前期おじいさん市民ランナー。

練習で「できた」ことが実際のプレイ場面で「できない」のはよくあることです。ついつい「自分は精神的に弱気になるので?」と思いがちなのですが本当にそうなのでしょうか?

「ブルペン・エース」という言葉もあるようですが、ブルペンは所詮ブルペンであって実際の試合でのマウンドではありません。バッターもいなければアウトカウントもなくピンチでの緊張感も何もない訳ですから「リアリティ」がありません。ですから「そこでの」パフォーマンスが「全く別の環境」で発揮できると考えるほうが無理があります。

時間をかければ良い?

かつて桑田真澄さんが東京大学野球部の特別投手コーチになった番組が放映されました(NHK 「クローズアップ現代:最弱チームは変われるか?」2013年放映)。東京大学野球部員は、甲子園出場経験はないものの大変真面目で春のシーズン前は1日12時間も練習していたのだそうです。

そこでの練習原理は「時間をかければ上達するという〝神話〟 」だったという内容でした。野球の場合、プレイ場面が多岐にわたるので練習時間が長くなるのはやむを得ない部分もありますが、「リカバリーと機能向上のための時間の確保」を考えると長すぎるようにも思います。

メンタルトレーニングで求められること

この点で前回触れた「メンタルトレーニング」の重要性がクローズアップされてきます。が、問題はこのトレーニングの「リアリティ」で、バーチャル環境や試合場面のリアルな再現といった「実際に想定される状況」での入念な実施が重要です。

かつてあるメンタルトレーナーの方が「プロ野球投手でいい加減なのが多くてね?」と嘆いておられました。あまりにもメンタルプラクティスの時間が短かったので内容を尋ねたところ「バッチリです、全員三球三振です?」だったそうです。選手の願望としては理解できるのですがそのような状況は「非現実的」で「非効果的」なことだと思うのです。

「スポーツのひろば」2023年7・8月号より

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