箱根5区|スポーツ本Review

箱根5区
佐藤俊(著)
徳間書店 2024年
1,980円(税込)272ページ

「山の神」を巡る神話はいつ生まれたか?

毎年正月、箱根路を走り抜ける「箱根駅伝」。小田原中継所からゴールの箱根・芦ノ湖までの標高差約800mに及ぶ5区には「山の神」と称される3名のランナー達がいました。初代山の神「今井正人(順大)」・2代目「柏原竜二(東洋大)」・3代目「神野大地(青学)」がその3名。

彼らが5区を走ったのは2006年から2016年の間。それまで20・9㎞だった距離が23・4㎞に変更になった時期。たった2・5㎞増えたとはいえ、距離変更は各チームとも戦略上大きな影響を与え「山を制する者が大会を制する」とも言われる状況に。2006年から2015年までの間、5区で区間賞を取ったチームは100%の確率で往路優勝を果たしている実績からも頷けます。

第93回大会以降、距離短縮(2・4㎞)されてからも重要度は下がったとは言え、優勝を目指すチームにとっては山のスペシャリストを探し出すことが重要なテーマとなり、代々引き継がれてきた「山の神のDNA」が一気に出てきたのが第83回大会の初代山の神「今井正人」。

その走りに影響を受けた柏原竜二が5区を走りたいとの憧れで箱根を目指すようなった経緯、原晋監督のもと3代目山の神「神野大地」の鮮烈デビュー、いかにして彼らは5区を走り抜けたか、数々のエピソードで綴られています。

素人目で見ても箱根路を登り切るのは強靭な体力と精神力が求められることはいうまでもありませんが、当の3人はこともなげに「リズムで登りきる」「決してリズムを崩さないことだ」と異口同音に語ります。

市民ランナーの一人として箱根路を登って走ってみたい衝動に駆られますが、「少しでも彼らに近づけたらいいな!」来年の箱根5区の放送が待ちきれません!!

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