2017年9月19日、日本高等学校野球連盟(高野連)は、18年センバツ大会からのタイブレークの導入を決定した。タイブレークとは、延長戦の早期決着を目的としてランナーを置いた状況からイニングを開始すること。高校野球では延長13回から無死一・二塁で始められることになりそうだ。
タイブレークは、投手の負担軽減と故障防止が目的だが、指導者からは「投手は精神的に負担がかかるのではないか。タイブレークの局面は試合の流れでできた局面でないから」といった反対意見も出された(「朝日新聞デジタル」17年9月19日)。
高校野球が延長15回までとなった2000年以降、甲子園で行われた試合は春夏合計で1448試合、そのうち延長戦は131試合(9・0%)、13回以降までもつれたのは21試合(1・5%)である。TBが適用されるのは1%程度にすぎず、投手の負担軽減・故障防止の効果は限定的だといわざるを得ない。
タイブレークルールを比較すると、高野連の正確なねらいが見えてくる。他の大会ではタイブレークは延長10回(大学選手権・U-23ワールドカップ)、もしくは11回(WBC・五輪)から適用されており、13回からの適用は都市対抗野球だけだ。タイブレークは延長10~11回から適用されるのが普通なのである。
それに対し、延長13回からのタイブレークのねらいは、「引き分け再試合にしないこと」であろう。実際、都市対抗野球は、タイブレーク採用の理由を「何としてもサスペンデッドゲームは避けなければならない。予備日を想定出来ないため、引き分け再試合も不可能」と説明している。
最も負担の大きい引き分け再試合を防止することは評価できるが、その効果は限られている。投手の負担軽減・故障防止の実質的な効果をあげるためにも、今後、さらに早い回からのタイブレーク適用が不可欠であろう。(ひろば編集委員・中村哲也)