東京2020|課題を検証しIOC組織・運営の抜本的な改革を

「災害級」のコロナ感染拡大となる中で東京オリンピックが実施されました。その後のパラリンピックも「無観客」開催となり、9月5日に閉幕。バブル方式での開催でも、7月1日以降に確認されたオリパラ関係者の陽性者は、計863人となりました。

IOCは「日本の感染拡大にオリンピックは影響していない」と、国民の不安に目を向けようとしません。東京五輪閉会にあたってIOCバッハ会長は「歴史が将来どう見るかは今、判断したくない。未来の世代が判断することだ」と発言したと報道(毎日新聞8月9日付)されました。

橋本聖子組織委員会会長は8月8日、「全体として大きな問題は起きることなく閉会の日を迎えた」と総括し、9月6日の東京オリパラ両大会の総括記者会見では「大会が完全に成功したのか、しなかったのかは歴史が証明してくれる」と述べたことが報道されました。爆発的感染拡大は、入院できずに自宅で亡くなる方が出るほどでしたから、こうした報道に接すると、「多くの人の感情とは別世界のことだったのか」と信じられない内容と感じます。

コロナ禍での開催はフェアとは言えず、アスリートファーストでもなく、出場選手は悩み、葛藤の中でプレイしていたことは選手たちの発言からもうかがえました。(新日本スポーツ連盟会長・石川正三)

「スポーツのひろば」2021年11月号より

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