低くても興味つきない「百低山」|SPORTS×TOPICS

深田久弥の「日本百名山」は有名ですが、その向こうを張って小林泰彦が「日本百低山」を出版してから21年も経ちました。「百低山」は、北は北海道の藻岩山(もいわやま)から、南は鹿児島の開聞岳(かいもんだけ)まで、1500m以下の知名度が高く、ストーリー性(歴史・伝説・詩歌や小説)のある山が選ばれています。

高さを比べると、一番低いのは千葉の鋸山(のこぎりやま・327m)で、次が北海道の函館山(334m)と続き、一番高いのは神奈川県丹沢山系の塔ノ岳(1491m)です。ここまで出てきた山の名前は、聞いたことがある、あるいは登ったことがある山ではありませんか。

もっと知られた山も入っています。ミシュランガイドに載ったために外国人が多く訪れる東京の高尾山(599m)、阪神では超有名な六甲山(931m)、滋賀と岐阜の県境にあってヤマトタケルの神話にもでてくる伊吹山(1377m)、と誰もが知っていて、歩いておもしろい山が多いです。

最近話題のNHKの「にっぽん百低山」は、歴史と文化、自然の魅力で選んだ低山へ、酒場放浪記で知られる俳人・吉田類が、もう一人の同行者と登ります。

2023年6月11日放映は、スピードスケートの選手だった岡崎朋美と、山梨の岩殿山へ登りました。岩殿城主の小山田信茂が武田勝頼を城に入れなかったために、武田氏が滅亡したという歴史を伝える城跡です。城主が武田を拒んだことで、この地の住民を救ったとも言われています。テレビで「にっぽん百低山」を見るのも楽しいし、見ると登りたくなります。

「ひろば」2023年9月号で講演を紹介している田中陽希さんが踏破した「二百名山」と「三百名山」にも触れておきましょう。発表されたのは「三百名山」の方が早く、1978年に日本山岳会が選定しました。

その後、深田久弥のファン組織である深田クラブが、1984年に「二百名山」を選定し、発表しました。深田久弥が登頂できなかった荒沢岳を入れる、入れないなど、多少の差はありますが、大部分は重複しています。日本山岳会のホームページに、「百名山」「二百名山」「三百名山」を一つにまとめた一覧表があるので、ご覧ください。

〈参考〉小林泰彦「日本百低山」(山と渓谷社)2001年

「スポーツのひろば」2023年9月号より

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