厚底シューズの行方は?|スポ研所長 やまけん先生のブログ!〈17〉

山崎 健(やまけん先生)
新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所所長。新潟大学名誉教授。専門分野は運動生理学、陸上競技のサイエンス。マスターズM65三段跳&3000m競歩選手兼前期おじいさん市民ランナー。

最近話題のN社の厚底シューズ。重量は250g程度なので厚底の割には軽いのですが、ポイントは反発性の高いカーボンプレートを挿入している点です。「履いたらみんな自己ベスト更新!」との噂が流れ、品薄で予約待ちの状況も…。値段は高いものでも3万円で、普及モデルは1万円。

かつての競泳水着・レーザーレーサーのように「数万円で予選と決勝2本でおしまい」に比べれば高いわけではありませんし、履いて自己ベストが出るなら魅力的な選択肢のひとつになります。

カーボンプレートは使用禁止になるのか?

A社とウェア契約をしている大学が全員N社のシューズで箱根を走りました。「商標」に関する陸上競技のルールでは、ウェアとシューズのメーカーは同じでなくともよいのですが、関係者の間では少し話題になっています。

問題はこの高反発性を生みだすカーボンプレートが、ルール上で禁止されている「バネ」に該当するかです。しかし陸上競技の短距離用スパイクでは、すでにカーボンプレート内蔵の硬く設計されたものが市販・使用されているので、即「違反なので使用停止」とはならないように思います。

プレートの厚さ(硬さ)とパフォーマンスの研究

鹿屋体育大学の永田隆先生は、この短距離用スパイクで、厚さ(反発性)の異なるカーボンシートについて選手の脚力や体重との関連を含め、検討をされています。

この研究では、選手のタイプに合わせて反発性の異なるカーボンシートを選択したほうがパフォーマンスが改善される可能性があることが示唆されています。なので、おそらく長距離ランナーでも市販のものがマッチする選手とそうでない選手がいるものと思われます。

実はランニングフォームにはプロポーションも含め様々なタイプがあり、大変複雑な関係にあります。

また、レース前半と後半とではランニングスキルを変える必要があるのですが「シューズ交換」という究極の選択肢もあるのかもしれません。

(「スポーツのひろば」2020年3月号より)

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