スポーツ実施中の暑さ対策は?

山崎 健(やまけん先生)
新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所所長。新潟大学名誉教授。専門分野は運動生理学、陸上競技のサイエンス。マスターズM65三段跳&3000m競歩選手兼前期おじいさん市民ランナー。

ヒトは発汗機能を持つ珍しい「動物」

人類(ホモ・サピエンス)は20万年の進化の中で「発汗による体温調節」を獲得した極めて珍しい「動物」です。これは、アフリカのサバンナで「昼間」に移動する必要性があったからです。

初期の人類は、「持久狩猟」といって、発汗により体温調節のできないシカ(アンテロープ)を20~30㎞追い回して、熱中症にして仕留めます。ライオンやヒョウも発汗による体温調節ができませんので、昼間は危険な肉食動物が寝ていて安全なのです(まさに「ライオンは寝ている!」)。

発汗により体温調節ができるものを「能動汗腺」といいます。これは子どもの頃の生育環境によってその数が決まり、後天的なトレーニングでは増加しないと言われています。これが暑さに強い「ヒートランナー」がいる所以です。

ですから「発汗機能」があまりよくない(他人より汗をかきにくい)人は、長時間体温上昇を伴うような運動は苦手ということです。ただし、長距離ランニングを繰り返すと発汗機能は改善しますし、その日の体調によっても発汗機能は異なります。

夏にオススメのウェアは…

スポーツ実施中は、発汗のための適切な水分補給が必要です。また、水だけを飲んでいると塩分補給が追いつかず「低ナトリウム血症」になり、けいれんを誘発します。マラソン後半、水分補給したのに「脚のけいれんでリタイア」はこのケースが多いのです。

スタート前のウォーミングアップから、300~500ccの水分やスポーツドリンクを摂取して発汗機能を活性化しておくことをお薦めします。
 
また高温環境下では、熱中症対策のいわゆる「塩飴」などの摂取も必要かもしれません。ウェアは、「通気性」の良い素材を選ぶのが良いでしょう。新しいTシャツなどの通気性のない〝丸首〟はNG。「襟付き」や「Vネック」デザインが体熱の排出(伝導・対流・輻射・蒸散の4ルート)には有利です。

「スポーツのひろば」2018年6月号

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http://science.njsf.net/yamaken/

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