京都府 中世の宗教者に思いを寄せながら 山科本願寺をめぐる|ウォーキング日本縦断〈136〉

城跡をめぐるウォーキングの一環として企画した山科本願寺。浄土真宗の再興を目指した蓮如上人が都の近くに築いた山科本願寺は周囲を土塁で囲み、防衛力を備えた城郭都市だったと言われています。東・西に袂を分かつ前の再興を表す象徴として作られた本願寺の跡に足を運び、歴史の一端に触れるウォーキングを行いました。

 山科駅に集合。旧東海道である三条通りを越え、四宮川沿いに下がると本願寺北東角にあたる安祥寺中学校の北東角に着きます。ここから本願寺跡の外周をたどり北西角を下がると、住宅街に蓮如上人ゆかりの寺院である西宗寺が現れます。さらに住宅街を下がると、最近整備されたように見受けられる本願寺跡公園に到着。ここでは、土塁や蒸し風呂跡遺跡を見学して、大きな土塁が残る中央公園へ向かいます。11階建ての団地が林立する中の公園の一角に残る土塁の規模に驚かされました。

 山階小学校北側に隣接する蓮如上人廟に立ち寄り、山科別院長福寺へ。ここの由緒書きによると、本願寺跡の所有権を争った東・西も願いが叶わず、それぞれが近隣に山科別院を建立し、東本願寺関連寺院がこの長福寺とのこと。西本願寺も近くに別院を構えているとのことでした。

 少し進むと南殿光照寺が見えてきます。ここは蓮如上人の隠居所として設けられた寺院ですが、よく見ると三方に掘(空堀か?)をめぐらせた防御力のあるお寺でした。中世の宗教者に思いを寄せながら、山科駅へ向かいました。

「スポーツのひろば」2024年1・2月号より

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