運動後のサプリメント摂取は?|スポ研所長 やまけん先生のブログ!〈19〉

山崎 健(やまけん先生)
新日本スポーツ連盟附属スポーツ科学研究所所長。新潟大学名誉教授。専門分野は運動生理学、陸上競技のサイエンス。マスターズM65三段跳&3000m競歩選手兼前期おじいさん市民ランナー。

サプリメントはあくまでも「補助食品」です。そして「劇的効果」をうたったものは「ドーピング禁止物質」を含んでいる可能性があります。最近、子どもが摂取する場合に問題になっている「エナジードリンク」も、高カフェイン含有でドーピング規制量と急性中毒の危険性が指摘されています。

まずは日常の食事を見直すことから

基本的には、サプリメントを摂ることよりも、まず日常の食事を見直すことから始めましょう。3大栄養素であるタンパク質(P)、脂質(F)、糖質(C)のPFCバランスが、P:20・F:15・C:65の割合になるような食事内容を心がけましょう。そして、ビタミン・ミネラルを摂取して、活動量に見合ったカロリー摂取に注意をしていれば十分です。

ただし激しい運動をした後では、筋グリコーゲンが消費されているため、早急な回復をはかるためには「糖質補給」が大事になります。そして筋の修復のために「タンパク質摂取」が有効であることも指摘されています。身体機能の回復過程でこれらの糖質やたんぱく質が不足していると、筋や血液、免疫細胞などを分解してエネルギーをつくり出してしまう可能性があるからです。こうしたことから、女子長距離選手などに対する、過度な摂食制限による弊害も指摘されています。

運動後の30分から1時間の間に栄養を摂ろう

糖質は筋肉や肝臓のグリコーゲンへ、タンパク質はアミノ酸に分解され筋組織の修復や分岐鎖アミノ酸(BCAA)からエネルギー補填に利用されます。運動後30分~1時間位はこの「修復反応」が亢進しています。この修復反応が亢進している間に、おにぎりやパン・牛乳などを摂るとよいでしょう。サプリメントで栄養を摂る場合には、食品の保管・保存や携帯性を考えて、タブレットや粉末、ゼリー状のものがよく利用されています。

また、水分とミネラルの摂取もパフォーマンス維持のために重要なことが指摘されています。運動後だけでなく、運動前から運動中も、水分とミネラルの補給を心がけるようにしましょう。

(「スポーツのひろば」2020年5月号より)

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