ジョコビッチの生まれ変わる食事|スポーツ本Review

テニスの四大大会に20回以上も優勝したセルビア出身のテニスプレーヤー・ジョコビッチが、勝利の秘訣を語った本です。ジョコビッチは2010年までは、ナダルやフェデラーにつぐ3番目の選手でした。特に2010年の全豪オープン準々決勝では、試合中に倒れ、結局敗れてしまいました。

「ジョコビッチの生まれ変わる食事」
あなたの人生を激変させる14日間プログラム
ノバク・ジョコビッチ(著)
タカ大丸 (訳)
三五館 2015年 

しかし翌2011年には3つのグランドスラム大会を制し、12か月間で51戦50勝を挙げ、ランキングも1位へと飛躍したのです。ジョコビッチが変わった2010年から2011年の間に何があったのか、何を変えた結果なのか、がこの本のメインテーマです。

彼は小麦に含まれるグルテンによって体調を崩す「グルテン不耐症」でした。たまたまテレビで試合を見ていたセトジェヴィチ博士が食物による過敏症に気づき、ジョコビッチに知らせて、グルテン不耐症であることがわかりました。それまで食べ続けてきたパンやパスタに別れを告げ、グルテンフリーの食事に変えたのです。

また乳製品にも不耐症だったようで、これも止めました。食事を変えた結果、体重が減ってスレンダーに、動きが軽く柔らかになり、反応速度も速くなるなどパフォーマンスが劇的に向上しました。食事によってジョコビッチは生まれ変わったのです。

この本には食事だけでなく、普段行っているフィットネスで一般の人にもお薦めのもの、例えばダイナミック・ストレッチ、フォームローラーによるマッサージ、毎日行っているヨガも紹介されています。こんな決まり文句も良いですね。「私が信じる方程式」は、「良い食べ物、運動、心がオープンであること、前向きなエネルギー、そして偉大な結果だ」。

自分にも可能なものは取り入れて、生活を変えてみたくなる刺激的な本でした。実際に食べものや食事の仕方も変えたし、フォームローラーの効果に改めて気づきました。本を読んでも、自分の見方・考え方・生活の仕方が変わらなければ、ほとんど意味がないのではないでしょうか。
(ひろば編集委員・西條晃)

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