スポーツ漫画道場「グラゼニ」

原作・森高夕次 画・アダチケイジ
掲載『週刊モーニング』講談社


今までの野球漫画といえば、『ドカベン』や『巨人の星』などスポ根ものがほとんどだった。主人公は努力を重ね、後にスターになる。そこに皆あこがれる。だが、この【グラゼニ】はまったく異なるコンセプトを持っていた。

主人公は黒ぶち眼鏡をかけたサイドスローの冴えない中継ぎ投手。高卒でプロ入りしたが、8年目で年俸は1800万円。微妙な金額(実力)だ。150km/hの豪速球を投げられるわけもなければ、すごい変化球も持っていない。

ただ彼には特技があった。全球団の1軍選手の年俸がすべて頭に入っていることだ。打者と対戦すると、彼の脳は敵の年俸をはじきだす。自分より年俸が低い選手は「たいしたことない」と見下し、高確率で打ち取れる。また、年俸が高い選手は「自分より年俸(実力)が上だ」とびびってしまう。

プルペンで80球近く投げても、登板のない日も多い中継ぎ投手。その日常から試合の中の心理状態、老後の心配など。年俸の話も入れ、うまくまとめている。さて主人公の26歳、凡田夏之助は先発投手になれるのか。(一柳英男)

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