スポーツ漫画道場「鉄拳チンミ」

作・前川たけし
『月刊少年マガジン』
(講談社)
1983~1997年


この『鉄拳チンミ』は拳法漫画だ。主人公の少年・チンミは相方の猿と野山を駆け回って遊ぶのが日課だった。あるとき、大林寺に入ることになる。そこで様々な師匠、敵と出会いながら、人間的に成長していく物語だ。

私のおすすめしたいポイントはチンミの戦う姿勢だ。自分が戦いたいから戦うのではなく、誰かを守るために戦う。決して敵の命を奪うことはしない。

24巻でチンミは大林寺の師範として、弟子たちを指導する。この弟子の1人・グンテが町のゴロツキと些細なことから喧嘩になってしまう場面がある。1対1の勝負では勝てたグンテだが、敵に仲間を呼ばれ、形勢逆転。敵は5人。絶体絶命のピンチにチンミが助けに現れる。チンミの圧倒的強さで敵は逃げ出した。グンテは敵を殴ってしまったのに対し、チンミは敵の武器を蹴り上げ、敵の身体は一切傷つけなかった。この場面を見て、「フェアプレイだな」「フェアプレイといえば、スポーツだな」と思ってしまった。(一柳英男)

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