スポーツ漫画道場「黒子のバスケ」

kuroko作・藤巻忠俊
掲載『週刊少年ジャンプ』(集英社)
2009年~2014年


地味で目立たない。華奢で弱い。影が薄すぎてどこにいるのかさえ分からない。

そんなネガティブな印象ながら、誰もが認めるバスケ技術を持つ男子高校生が主人公の黒子テツヤだ。スポーツ漫画の「熱血で明るく爽やかな主人公像」とはかけ離れた設定がおもしろい。

黒子が中学時代に所属していた強豪バスケ部は、独特なスキルを持つ天才ばかりが集まっていたことから「キセキの世代」と呼ばれていた。だが「勝つ」ということだけにこだわり、個人技ばかりのプレイスタイルに黒子は嫌悪感を抱いた。仲間と繋がりながら楽しむのが本当に強いバスケ。それを証明するため、高校で出会った新たなチームメイトと「キセキの世代」打倒に燃える。

自分の欠点と思っていることも、見方を変えれば武器になる。黒子はそう教えてくれているような気がした。試合を通して黒子に影響を受け、少しずつ変わっていく対戦相手たちの姿にも注目してほしい。(山口優希)

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