2018平昌冬季オリンピック現地観戦レポート

2018年2月13~16日、新スポ連関係者有志(6名)で「平昌オリンピック観戦ツアー」を実施しました。そのツアーとは別に平昌へ向かった「ひろば」ライターの佐藤文孝さんを含め、今回は会場の雰囲気など、現地観戦ならではのレポートをお伝えします。

初めて観たリュージュの魅力

リュージュやスケルトン、ボブスレーのそり競技が行われるアルペンシア・スライディングセンターに到着。そこで、視界に飛び込んできたのは弾丸の如く、滑り降りてくる選手の姿だった。

観戦できた種目はリュージュダブルス(二人乗り)。二人の選手が「気を付け」の姿勢で仰向けで重なり合うようにそりに乗り、足を前にして滑り降りて二回のアタックの合計を競うタイムレースだ。

コースの一部にはスピードを計測するデジタル表示が掲げられており、時速120㎞越えのスピードを計測するシーンもみられた。

全長1㎞を超えるコースは、滑走面が垂直にねじれている部分もあり、選手の体が真横になる場面ではコースアウトさえ予感させられた。同時に、轟音を響かせながら浮き上がらんばかりにスピードに乗りぶっ飛んでいく様子からは決して小さくない恐怖すら感じてしまった。

熱狂と絶叫に包まれた場内

場内にはリズミカルなBGM、MCによる熱狂を煽るアナウンス、そして悲鳴ともとれる観客の絶叫に包まれる。また、上部に設置された大型スクリーンでスタートからゴールまでが映し出されており、その一部始終を画面で把握しようと試みるも、目まぐるしく切り替わるカメラワークとスピードに追いつけず、選手が目の前を一瞬で通り過ぎていくばかり。タイムアタックは1レース、僅か50秒足らずでフィニッシュする。

普段はまず接することがないであろうリュージュという競技、なおかつ世界トップクラスのレベルを観戦できたことはやはりオリンピックならではであり、その迫力を十二分に味わうことができた。また、初めての冬季五輪観戦、凍えるような寒さの中「世界最速」を競う熱すぎる戦いからは新たなスポーツの魅力に出会えたと感じ、心から嬉しく思えた。

日本でのそり競技は危機に直面

そんな中、今大会のリュージュという競技に日本人選手の姿が無いことに寂しさを覚えた。有力選手の少なさから、昨年には既に派遣しないことが決定されており、国内の競技施設は稼働も停止、それにより競技人口の減少も懸念されている。同じくそり競技のスケルトン、出場枠を獲得できなかったボブスレーも同様で、日本におけるそり競技の継続は危機に直面している。

今回の平昌五輪においてリュージュの魅力に触れることができただけに、日本国内の競技発展、存続を願わずにはいられない。1000分の1秒まで計測されるスピード感は人間が主役となるあらゆるスポーツの中でも極めてスリリングであることは間違いない。そしてその迫力からくる楽しさはより多くの人に伝えられていくべきだ。

コースの傍に立ち、絶叫を抑えられず、目の前を一瞬で滑走していく選手たちからの風を感じつつ、そんな思いが頭の中を巡っていた。(「ひろば」ライター・佐藤文孝)

「平和と友好の祭典」を実感

ボランティアの笑顔あふれるオリンピックに

準備は万端! 無事、韓国・金浦(キンボ)空港に到着すると、韓国体育市民連帯のキム・ドクチンさんが迎えてくれました。ソウルからKTX高速鉄道で、江陵(カンヌン)まで2時間ほど。

オリンピックマスコット「スホラン」と一緒に

駅前は広々として、オリンピックマスコットと五輪のマークの前で記念写真。ここで女子アイスホッケー、カナダ対フィンランドを観戦しました。両チームとも強豪のようで、ファイトあふれるプレイやシュートのたびに歓声が上がります。

驚くのはパックのスピード。一瞬見失ってしまう程です。それをキーパーはキャッチし、脚で防ぐのです。劣勢のフィンランドが1点を返すとフィンランド応援席は最高潮に。応援席では、それぞれ独自の応援グッズ(小旗、国旗プリントのジャケット、楓の葉のおもちゃ、体全体)を持って楽しんでいます。

屋外競技は自然には勝てず!

14日は江陵駅の隣り、珍冨(ジンブ)駅からアルペンスキー女子回転会場へ。ボランティアのにこやかな案内でスムーズに席に。この日は雪もちらつき、少し寒いのに、時間を過ぎても始まらず。いつの間にか、私たちのすぐ後ろに北朝鮮の応援団、いわゆる”美女軍団”が30人ほど鎮座し、比較的おとなしいパフォーマンス。「今日の競技は風で延期」とアナウンスされると”美女軍団”はサァーと引いていきました。

会場ではいろいろな応援スタイルが入り交じり、エールの交換が自然に起こっていました。外の競技は、自然には勝てないのは「仕方がない」。

その夜は、韓国体育市民連帯の方々6名との懇親会に。「私たちは、統一チームの実現を訴えて活動してきた」と聞き、それが実現したことでスポーツが果たした役割の大きさを実感しました。

韓国のあたたかさに感謝

15日は、アルペンスキー男子スーパーG。ところが、会場でチケットを出すと「使えない。今日は延期された男子滑降」と言っている模様…。日本からのボランティアの助けで競技の延期状況を把握することができ、当日券を購入して、観戦。観戦席はガラガラなのに、私は立席でした。

キム・ドンウ選手

滑降のコースは、スタートの標高1370mからゴールまでの約3㎞、標高差825mのコースに33旗門がセットされ、そこを一気に滑ってきます。スピードを見たら最高時速124㎞の選手もいました(風があったら危険!)。

韓国からひとり、キム・ドンウ選手が参加し、53番目のスタートで無事ゴールした時には大きな歓声が。キム選手は声援に手を振り、何度も頭を下げていました。観客は、一人一人の選手の滑りに固唾をのみ、ゴールのたびに歓声があがります。それが最後の57人までです。

近くも遠くに感じていた韓国。KTX車掌さんの親切、ボランティアの明るさ、焼き肉屋の女将さんの親切。何よりも毎日フォローしてくれたキム・ドクチンさんには頭が上がらない。やはり現地で感じる”平和と友好の祭典”、カムサハムニダ! (新日本スポーツ連盟理事長・石川正三)

平和オリンピックの流れを東京につなごう 

観戦ツアー初日、女子アイスホッケーのカナダ対フィンランドを観戦しました。私はルールも知らず、見るのも初めてという情けない状態で会場入りしましたが、座席はバックスタンド下から5段目のほぼ中央で最高の席でした。

「氷上の格闘技」と言われるだけあって、激しい全力プレイで壁面に体当たりするドカンという音が不気味に響いてきます。アイスホッケーはカナダの国技で、応援団もカナダが目立っていました。

翌日は南北合同チーム(韓国22位・北朝鮮25位)が同じ場所で日本(世界9位)と対戦し、1-4で敗れました。韓国中央日報の記事では、大会初得点を挙げたランディ・グリフィン選手を詳しく紹介していました。韓国人の母と米国人の父を持ち、米国籍から昨年韓国籍を取得した選手です。

日本の女子アイスホッケー登録選手は2587人、韓国は319人に過ぎません。南北合同チームについては「今まで頑張ってきた韓国選手の出場機会を奪うのは許せない」など批判がある一方で、平和オリンピックとして肯定的に捉える受けとめもあります。

上の記事の中でリュ・テホ高麗大学体育学科教授は、「合同チームは勝敗を離れ、南北の選手がお互いに励まし合い笑う姿を国民に見せてくれた」とし「単純に会うだけでは統一が実現されないのと同じように、急に結成された合同チームがすぐに大きな結果を出すことはできない。”象徴”が”実質”に向かうために、南北間のより多くの出会いと対話が必要だ」と述べています。

リュ・テホ教授は私たちが交流している韓国体育市民連帯の執行委員で、韓国反戦平和マラソンの際にいつも自転車で先導をしてくれている方です。2年後の東京オリンピックで私たちは平和な気持ちで南北合同チームを迎えたいものだと思いました。(新スポ連国際活動局員・佐藤好行)

南北対話に希望をもたらす平昌五輪

新日本スポーツ連盟の有志6人で、2月13日から平昌冬季五輪の観戦ツアーに行ってきました。第1陣は15日まで、第2陣は16日までという短期間のスケジュールでした。

この企画は、韓国留学中の石川正三理事長の姪御さんの協力で、チケットやホテルを現地調達していただき実現したものです。また、韓国語に通じている佐藤好行さん(国際活動局員)、そして反核・平和マラソンでおなじみのキム・ドクチンさん(韓国体育市民連帯)にも大変お世話になりました。

平昌五輪は、1月、北朝鮮選手団の参加、開会式で韓国との合同行進、アイスホッケー女子で初めて合同チームの編成が決まるという急展開があり、にわかに「平和の五輪」として世界が注目することとなりました。

私たちもアルペン競技の会場で、北朝鮮のいわゆる「美女軍団」といわれる女性応援団と遭遇しました。彼女たちが多くのテレビに囲まれている様子や世界各地から五輪観戦に訪れた大勢の人々が好意的な態度で取り囲み、カメラに納めている様子を見ました。

14日の夜は、新スポ連と継続的な交流を行っている韓国体育市民連帯の方々と夕食を共にする機会がありました。彼らは「私たちは平和のために北朝鮮が参加することを一貫して主張してきた」と述べ、北朝鮮の参加を当然のこととして高く評価していました。

「平和の五輪」として世界が注目

分断国家での五輪であるがゆえに、韓国の人たちから見れば、北朝鮮とは武力の行使ではなく対話と交流を広げることへの特別の思いがあることを理解しました。一時的な対話さえも閉ざされた厳しい状況に一筋の希望をもたらす五輪となっていることが説得力を持って感じることができました。

私が観戦したのは、アイスホッケー女子のカナダ対フィンランド戦。世界ランク2位、3位と強豪同士の対戦で、激しいチェックと素早い攻守の切り替えの好ゲームに一気に引き込まれました。3ピリオド60分があっという間に過ぎ、4対1でカナダの勝利。

15日はカーリング。カーリングは5つのコートで10チームが一斉に競技を行っていて、どのゲームを見るかを決めて見ないとゲームの流れがまったくわかりません。そこで、すぐ目の前のコートのカナダ(世界ランク1位)対韓国(同8位)戦、その隣の日本(同7位)対デンマーク戦(同9位)に絞って観ることとしました。

韓国が世界ランク1位のカナダに対し優勢な試合を進め、観客の応援も盛り上がることから、ついそちらに目がいっていると、日本が第8エンドでハイタッチしていて、何がどうなったかわからないうちに日本が勝っていました。テレビの解説付きの観戦との違いと面白さを実感しました。韓国はカナダに圧勝し、快進撃の始まりでした。

悪天候による競技日程の変更への対応などトラブルや困難もありましたが、各自自主的な判断やボランティアや韓国の人々の親切な対応に支えられ、充実した観戦ツアーとなりました。感謝です。(新日本スポーツ連盟会長・和食昭夫)

ジャンプしてゴールに会場がうなる

アルペンスキー男子滑降を観戦して

観戦を予定していたアルペンスキー女子回転は強風のため中止に。我々の観客席は中央の最前列近く、ほぼ全コースが一望できる絶好のポジションに陣取ることができたのに非常に残念でした。

女子回転の席は絶好のポジションだったが、残念ながら強風のため中止に

ポールセットの振り幅は、さすがオリンピック。特にスタート直後は通常リズムを取りやすくするために振り幅を少なめにするのですが、はじめからかなり振ってあるように見えました。このセットを選手がどのように滑るのか、優勝候補のミカエラ・シフリンの滑りを生で見たかっただけに中止は非常に残念でした。

翌日の女子スーパーGは延期となり、男子滑降が行われるということで、新たにチケットを購入することになりました。天気は最高で、前日の寒さが嘘のような絶好のコンディション、予定時間通りに選手がスタート。

滑走の様子は正面のオーロラビジョンで見られます。そして、中間タイムが5個所に表示され、最短タイムと比較した中間タイムが表示されるたびに会場から歓声が上がります。

出走順はポイントの少ない選手をドローして出走順を決めますが、中でも注目はビブ№7、ノルウェーのスピンダル選手、中間タイムが表示されるたびに、―タイムが表示され歓声が沸きます。ゴール前にはジャンプ台があり、ジャンプしてゴールするシーンで会場がうなります。

スピンダル選手はゴール前のジャンプでスピードが出過ぎていたのか、着地の際、スキーが横に流れてヒヤッとしましたがラップタイムでゴール。
最前列でバイキングの角兜を被りノルウェーの国旗を背中に覆った応援団の喜ぶ姿が印象的でした。

続いて、会場を沸かせたのが、ビブ№10のノルウェーのヤンスルード選手、中間タイムはスピンダル選手を上回るタイムでしたが、ゴールタイムは0・1秒差で2位、結局ノルウェーがワンツーフィニッシュを決めました。

これ以降の選手で二人を上回る選手は出ませんでしたが、最後までゴールする選手に声援が送られていました。出走順が遅い選手になると、どうしてもフォームが乱れるシーンが見られます。ハイスピードの中では、オリンピックに出る選手になっても、その乱れは、我々が陥る欠点と同じ欠点が現れるのに対して、上位の選手はフォームが乱れず、外脚にしっかり荷重して滑れている違いを再確認しました。

残念なことに、この種目には日本の選手はエントリーされていません。国枠の出場枠はあるのに、非常に残念です。

こうしたスピード系種目にも選手を送り出すことで、その経験が次の世代の選手を育てることにもつながるので、出場枠がある種目にはぜひ選手を出場させてほしいと強く感じました。(全国勤労者スキー協議会 技術教育局長・荻原正治)

激しさとスピード感に驚嘆

アイスホッケーを間近に観て

アイスホッケーを観戦するために、江陵駅からバスで関東(クォンドン)ホッケーセンターへ。ところが会場が違うことが発覚。ワクワクしていた気分がいっぺんに落ち込みました。「正しい会場への直通バスがある」と韓国人のイケメンボランティアに教えてもらい、ツーショット写真で元気を取り戻し会場へ向かいました。

フィンランド対ドイツ戦はすでに始まっていました。アイスホッケー初心者の私、パックがゴールにたくさん入れば勝ち…くらいの知識で観ていました。氷上での動きの激しさ、スピード感に圧倒。さらにフィンランド控え選手のすぐ後ろの席だったため、プレー中どんどん選手交代する速さの迫力を間近にしました。

ルールを知って観ようと携帯で検索。選手は1分も滑るとヘトヘト、そのためみんな1分以内で交代、その入れ替わりの速さも見ていて面白い、さらにパック奪い合うときの迫力。反則を見極める審判の動き。その技術をも味わうことができました。

フィンランドに点数が入ると、応援団が国旗を振り、歓声が上がります。他の国の応援もあり「オリンピックに来ているんだ」と実感させられました。

アイスホッケーとはスピード、スティック操作やスケーティングのテクニック、チームワーク、ファイテイングなど自らの肉体を使うスポーツなのだと改めて知ることができました。

今までテレビで見ることしかなかったスポーツも、実際の試合を見るとその魅力に引き込まれていくのだと今回のオリンピック観戦で得ることができました。皆さんも機会があったら是非体験をしてみましょう。(新スポ連 東京ランニングクラブ TORY組・鳥井弥生)

競技の前後は歌と踊りでテンションMAX

初めての韓国旅行にワクワクしながら、スピードスケート・ショートトラックを観に、アイスアリーナに向かいました。

会場の席は、カーブのすぐ前の席で選手がよく見える最高の場所でした。競技が始まる前は、歌手が歌い、踊る女性グループが会場を盛り上げていました。最初の競技は女子500mの予選で日本の選手は出ませんでしたが、カーブでの競り合いが激しく、氷を削る音ですごい迫力でした。

男子1000m予選の前の休憩と製氷の合間も歌と踊りで盛り上げ、観客も立って踊り出します。日本選手は、1組から出場し、坂爪亮介は転びましたが、救済措置で準決勝へ。2組の吉永一貴は堂々の2位で残りましたが、3組の渡辺啓太は3位で予選敗退でした。後日、準決勝で坂爪亮介は決勝に残れませんでしたが、5~8位決定戦で5位になりました。

15日のスキー女子回転は、雪と強い風で中止に。しかし、零下の寒さと北朝鮮の美女軍団50人の応援風景を味わうことができました。 午後、ソウルで日本大使館の慰安婦像と歴史博物館のスポーツの歴史展がとても勉強になりました。その夜の韓国体育市民連帯との交流は、食事も含めてとてもよかったです。

最終日のアイスホッケー観戦の前に江陵海岸のコーヒー通りに行って、コーヒーを飲みながらの海を見たのが心に残りました。(新スポ連全国ランニングセンター顧問・鳥井健次)

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