夢は叶う オン・ザ・ピッチ|スポーツは映画ともに

夢は叶う オン・ザ・ピッチ
2010年製作/113分/韓国
原題:Dreams Come True
平和を考えるためのスポーツ映画

戦場でも、東西の政治的対立があっても、人種差別に苦しめながらも、様々な困難に臆することなくスポーツは続けられてきた。スポーツの強靭な生命力を映像の中に見つけよう。

2002年、日本韓国合同サッカーワールドカップが開催される中、朝鮮半島の南北国境線地帯を舞台に、サッカー好きな兵士たちがワールドカップの情報を得るために、本部内で密かに奮闘する北朝鮮軍の兵士と、そんな人々に共感する韓国軍兵士が心を通わせる姿を、コミカルかつ感動的に描いたドラマ。

1987年の「民主化宣言」以降、民主化の道へと進んだ韓国とは対称的に、旧態然とした体制が続く北朝鮮側の視点を中心に描かれたこの物語のテーマは、ある意味韓国側の立場による希望を盛り込んだものであるが、常に緊張が蔓延する国境付近において、互いがスポーツを楽しむことを通して理解し合い、繋がり合う平和への願いを強く感じさせる。

エンディングは基本的にポジティブな方向へ向かうものとなっている。そのまとめ方はかなり奇想天外なものであるが、明るい未来を想起させる意味では好感の持てる物語といえるだろう。

「スポーツのひろば」2025年6月号より

タイトルとURLをコピーしました