
1985年製作/91分/アメリカ
原題:Rocky IV
平和を考えるためのスポーツ映画
戦場でも、東西の政治的対立があっても、人種差別に苦しめながらも、様々な困難に臆することなくスポーツは続けられてきた。スポーツの強靭な生命力を映像の中に見つけよう。
ボクシング映画の金字塔「ロッキー」シリーズの四作目で、ロッキーの親友アポロを絶命させたソ連のボクサー・ドラゴに挑戦するロッキーの奮闘を追う。
この作品が発表されたのは、そしてソビエト連邦や東欧諸国など16の国と地域がボイコットをしたロサンゼルスオリンピックの一年後にあたる。
ロス五輪の前には西側諸国が出場をボイコットしたモスクワオリンピックが開催されており、東西冷戦の緊張が高まっていた時代で、スポーツの世界にもその一面が波及していた頃であり、この時期に本作のようなテーマの物語を描いたことは非常に大きな意味を持つものであると言える。
互いにボクシングの対戦相手としてぶつかり合いながらも、その背後には国の威信の強要が見え隠れしていたアポロとドラコの対戦。これに対しロッキーの挑戦、そしてラストシーンでの発言は、その構図の中で純粋なスポーツのあるべき姿を強く訴えかけているようにも見える。
「スポーツのひろば」2025年6月号より