2022年製作/113分/G/日本
大学で哲学の教鞭に立つ小鳥遊雄司(たかなしゆうじ)の苦手なことは水泳で、水に顔をつけることすら恐れていた。ところがある日、彼はひょんなことから訪れた水泳教室で水泳コーチの薄原静香(うすはらしずか)と出会い、半ば強引に入会させられることに。何事にも動じない静香の教え方に戸惑いながらも徐々に水への恐怖心を克服していく雄司。そして彼は自身の水にまつわる出来事と改めて向き合っていく。
ノンフィクション作家・高橋秀実のエッセイをもとに、オリジナルストーリーとして映画化した作品。水泳教室を舞台に原作にはないオリジナルストーリーを構築している。群像劇っぽい人物設定がありながらも、ポイントを主人公・雄司自身の人生に絞っているところに重要なテーマ性が感じられ、コメディーテイストもありながら普遍的な要素もうかがえる。また水中という幻想的な印象をうまく利用した表現もセンスのよさが光っている。
「スポーツのひろば」2023年7-8月号より