スポーツ映画レビュー「炎のランナー」

〈 監督 〉ヒュー・ハドソン
〈 脚本 〉コリン・ウェランド
〈 出演 〉ベン・クロス  イアン・チャールソン イアン・ホルム
1981年 イギリス

第54回アカデミー賞作品賞受賞1981年公開のイギリス映画。古くて恐縮だが、1924年のパリオリンピックが舞台の一つなので、同じくオリンピックイヤーとしてお許し願いたい。

ユダヤ人でケンブリッジ大生のハロルドと宣教師のエリック、この2人の青年が映画の主人公。ともにライバルであり、走ることを通じて友情を深めていく。

元来、スポーツ物の映画は現実との差が大きすぎて、本物のような感動は味わえないと敬遠していた。この映画の冒頭シーン、砂浜を走る選手たち。バックに流れるテーマ曲。どこかで聞き覚えがある。選手たちの走るフォームは美しいとは言えないが、そんなことは気にならなかった。あっ、これが映画というものの持っている魅力なんだなあと実感。

「君はひたすら個人的栄光を求めていて、集団への帰属意識に欠ける」「あれがユダヤ人というものだ」。映画の中に見られる人種差別の問題。そして宣教師であるエリックはオリンピックの100mの予選が安息日である日曜日に行われるためレースを棄権する。宗教の問題も根深い。2つとも考えさせられる重いテーマではある。

映画の本題とは逸れるが、100mのレースでコース間にロープが張られていたり、スターティングブロックのまだないこの時代、コテみたいなもので土を掘ってスパイクを入れる穴を掘っていたシーンが当時の競技会の様子を垣間見れて面白かった。(小林一美)