スポーツ映画レビュー「あしたのジョー」

監督/曽利文彦
製作/「あしたのジョー」製作委員会
出演/山下智久/伊勢谷友介/香里奈/香川照之
2011年日本


誰もが知る名作漫画の映画化となれば、原作ファンからの批判は必ず覚悟しなければいけないことなのかもしれない。だがその観点からみれば、この「明日のジョー」は「成功」といえる作品ではないか。

舞台は昭和40年代の東京の下町。喧嘩に明け暮れる不良少年・矢吹ジョー(山下智久)は、元ボクサーの丹下段平(香川照之)にボクシングの才能を見込まれていく。途中、矢吹は問題を起こして少年院に入るが、そこでプロボクサーの力石徹(伊勢谷友介)と出会う。ライバルとして認め合う二人は、試合で対決することを目標に日々厳しい練習に精を出す。恵まれた環境でトレーニングを積む力石。対して、資金力がない矢吹は丹下と共に地道に自らを鍛え上げていった。劇中のストーリーは、矢吹と力石の試合が終了するまでを描いている。

人間ドラマの部分だけではなく、俳優たちが身体をはって演じているシーンはとても迫力があった。特に力石の減量の場面はすさまじく、口を塞いでしまいたくなるほどリアリティがあるものだった。映画公開当初、「プロさながらの」と形容されていただけある。

もともとは男臭いストーリーだが、主演がジャニーズの山下智久の爽やかさで緩和されている感があり、女性が見ても純粋に楽しめる映画だ。もちろん、男性ファンが見てもがっかりしないだろう。鍛え上げられた俳優陣の肉体や、映像の美しさ、ボクシングシーンの臨場感は、素直に素晴らしい。

それぞれクセのあるキャラクターが、自分の明日に向かってひた走る。決して諦めず屈しないその姿は、誰が見ても勇気をもらえるに違いない。(山口優希)