スポーツ映画レビュー「バッテリー」

監督:滝田洋二郎
出演:林 遣都/山田健太/岸谷五郎/天海祐希
原作:あさのあつこ『バッテリーⅠ・Ⅳ』
2007年 日本


原作はあさのあつこが少年野球を描いた長編小説で、児童文学としてベストセラーになり、漫画にもなったので知る人も多いだろう。

中学入学前の春休みに岡山県のとある町へ移ってきた、天才的なピッチャー原田巧と、その剛速球を受け止めたキャッチャー永田豪の物語である。野球嫌いで点数稼ぎのために野球部に入っていた3年生が起こした暴力事件に巻き込まれて、部が活動停止に追い込まれたり、全国大会準優勝の怪物スラッガーと対戦したりと、いろいろのエピソードを挟みながら話は展開してゆく。

固い絆で結ばれていたはずのバッテリー二人の間に、大きな亀裂が生じる。大事な場面でキャッチャーがボールを後ろへそらし、それを見たピッチャーは「手抜きのボール」を投げる。「手抜きボールはキャッチャーへの裏切り」とマウンド上で小競り合いになり、そこからピッチャーは崩れていく。しかしチームメイトが、反目する二人を気遣い自然なかたちで遊びの野球をはじめる。そして二人は歩み寄り、再び最強のバッテリーが復活する。

「自分を受け止めてくれる相手がいる」という信頼があってこそ、バッテリーは成立するのだというテーマが、BGMのように一貫して流れている。「自分を受け止めてくれる相手」が必要なのは野球だけではない、もっと広く、人が生きるとはそういうことだとも言えよう。

最近ジュニア向けの小説や映画をおもしろいと思う。『武士道シックスティーン』(本誌4月号のBOOK
REVIEW)も小説から映画になった。歳とともにやや固くなりつつある心に、青春の瑞々しい感性を蘇らせてくれるから。(西條 晃)