スポーツ映画レビュー「私たちの生涯最高の瞬間」

監督/イム・スルレ
出演/オム・テウン ムン・ソリ
2008年 韓国


2004年アテネ五輪で活躍した韓国女子ハンドボールチームを題材にした映画である。決勝のデンマーク戦は、再延長の末決着がつかず7 mスロー(PKのハンドボール版)にもつれこむ名勝負となった。が、この作品の見せ場は「感動の試合」ではなく、韓国代表チームが織りなす「人間ドラマ」。そこには、恵まれない環境でチームと家庭を両立しようと苦悩する女性選手たちの姿が浮かび上がっている。

88年、92年五輪金メダルの立役者・ミスクは、所属チームの解散や夫の借金トラブルに遭い、幼い息子を抱えながら生活費のためにスーパーで働きはじめる。一方、かつてミスクのライバルだったヘギョンは、韓国代表の監督代行となった。ミスクなどのベテラン選手をチームに呼び込むが、若手選手とうまくいかず、いざこざを連発。結局ヘギョンは監督代行をクビになり、現役復帰してチームをまとめようと努力するが・・・。

その後、新監督に就任したのは、男子ハンドボールの元スター選手・スンピル。子連れで練習するミスクに「託児所に預けろ」と注意するスンピル監督に対して、彼女は何食わぬ顔をして言う。

 「送り迎えしてくれますか?」

なんて生活感のあるセリフだろう。この映画はプロデューサーも監督も女性ということで、男性中心のスポーツ社会に喝を入れるような「スパイス」が効いている。そんな「辛味」も味わってほしい。(佐藤信樹)