武道性をふまえた空手道競技を

東京五輪に空手が採用され、私の住んでいる田舎でもちょっとブームになりそうな雰囲気です。地元の空手道連盟もこの時を逃すなと張り切っています。しかし、私が考えるのは「柔道やプロレスのようになって良いのか?」という懸念です。

空手には空手の考え方があります。例えば、道着が白であるのは意味があります。柔道では、競技をわかりやすく見せるため、カラー道着となってしまいました。

ちょっとしたことですが、このように変わっていくことが果たして良いことなのかという疑問であったり、心配であったり。気になることは、ガッツポーズ。喜びを表現する行為なのでとがめない人もいますが、敗者に対する礼儀やマナーという点で、もう少し自制されて良いのでは? 世界大会でマット上で飛び跳ねている選手をみると、思わず顔をしかめたくなります。負けた選手に敬意を表してこそ、勝者たらしめるものがあると思います。

また、相手の足にタックルのようなものを仕掛け、倒れたところに突きや蹴りを繰り出してポイントを取るという技(?)が行われた時期がありました。空手はルールがよく変わります。ポイント制となり、上段蹴りが3ポイントとなったことで、ジリジリと息の詰まるような間の取り合いから、ポンポン飛んで上段を蹴る、いわゆるボクサーステップが主流となりました。これでは、テコンドーとそう変わりはありません。

スポーツは安全な競い合いでなければなりませんが、日本に伝わる武道には試し合いはあっても競い合いはなかった。高齢になっても武道を人生とともに親しんでいる人が多くいますが、それらの人にも納得できるような空手道競技としてオリンピックに登場してもらいたいものです。(ひろば読者・阿部久)

「スポーツのひろば」2017年3月号より