野球 | イチロー賛歌

私がプロスポーツ界で常に注目しているのが、大リーグ・マーリンズのイチロー選手だ。2001年にアメリカに渡り、10年連続200本以上安打を放つという偉業を成し遂げたのは皆さんご存知の通りだ。

しかし、私が本当にイチロー選手は凄い! と感じたのは、ヤンキースに移籍し、出場機会が減りだした12年のシーズンからの彼のプレイだ。

代打や途中出場で使われるケースが多くなり、打数が大幅に少なくなったが彼はヒットを打ち続けた。そして16年のシーズンにピート・ローズに並ぶ16年という史上最速で大リーグ通算3000本安打を達成した。

その時のイチロー選手の試合後の会見での言葉が私の胸を打った。
「3千という数字よりも、僕が何かをすることで、僕以外の人たちが喜んでくれることが、今の僕にとって、何よりも大事なことだと再認識した瞬間でした。」
うーん、私は彼を〝孤高の人〟だと思い込んでいたので、彼の口からこのような言葉が出たことは意外だったが、嬉しかった。

そしてこうも語っていた。
「代打で結果が出ないのは、ダメージが大きいですよ。僕も切ったら緑の血ではなく、赤い血が流れますから。感情もありますし、しんどいですよ。」

来シーズンも彼がチームの中で4番手の外野手であるという立場に変わりはないだろう。しかし、「僕にとってはいつの日かわからないこと(注=野球殿堂入り)よりも、明日の試合に出たいことの方が大事なことですね」という言葉通り、彼は打って走って、そして補殺でファンを魅了してくれることだろう。日本から海の向こうのイチロー選手にエールを送り続けたい。(ひろば編集委員・小林一美)

「スポーツのひろば」2017年1-2月号より