
今やプロランナーや大学、実業団の選手をはじめ、市民ランナーまで多くのランナーが使用している「厚底シューズ」。誕生から約10年、その実態は不透明です。市民ランナーの皆さんにアンケートを行ない、実態を調査し、今後の課題を検証してみました。
厚底シューズに頼らざるを得ない?
私の所属するランニングクラブのメンバーに「厚底シューズに関するアンケート」に協力してもらい、34名から回答を寄せてもらいました。

8割超の人が厚底を履いていました。履く理由として約4分の1の人が「今は厚底しか選択肢がない」と答えています。都内のランニング用品を中心に取り扱うショップでも棚に並んでいるのは厚底ばかり…。定価は1万~3万円ほどのものが中心で、中には8万円もするものもあります。クラブのメンバーは1万~2万円以内のものを購入しているようです。

厚底以外のシューズを履いてる人もシューズ探しに苦労していて(メーカーが扱っていない)、ソールの減ったシューズを履き続けているという声も聞きました。履かない理由の一つに「筋力が落ちている今、厚底には対応できない」という声もありました。
故障のリスクも覚悟して…
一方アンケートでは履く理由として4割の人が記録が伸びたと回答しています。誕生から約10年、厚底が市民ランナーにも浸透していることが伺えます。
しかし、記録が伸びることとケガや故障は紙一重。アンケートでも厚底を履いてから故障したと回答した人が35%いました。痛めた箇所はそれぞれで、すべてが厚底を履いたことが原因とは特定はできませんが、医学的な見地からも検証する必要があると思います。

驚いたのは半数の人が「記録が伸びた」ことを実感していることです。筋トレや体幹を鍛える努力をしている姿勢も伺えます。もう厚底以前の状態には戻れない中、用具とうまく向き合うことも考えていかなくてはとも感じました。
今後は値段と耐久性が課題に
そんな厚底の課題ですが、「今後、厚底シューズに期待することはありますか」の設問には、7割の人が「値段を下げて欲しい」「耐久性を高めて欲しい」と回答しています。
クラブのメンバーに聞いたところ、シューズの踵部分の縁(へり)=写真の楕円囲みの部分=が消耗するとのこと。そのまま履き続けるとバランスが悪くなり、故障のリスクが怖いとのことでした。アンケートでも「反発力を受け入れる寿命が知りたい」との声がありました。

笹川スポーツ財団の調査によると過去最高だった2020年と比べると25年はランニング人口が300万人減少したとのこと。高騰する大会エントリー代や高いシューズ代も影響していると考えられます。
記録が伸びることを第一の目的としているランナーもいれば、楽しく走ることをモットーとしているランナーも多いはず。売れればいいという姿勢だけではなく、メーカー側にはより安全にランニングを楽しむためのシューズ開発にも目を向けて欲しい。

今回初めて「ひろば」で厚底シューズのことを取り上げました。ぜひ読者の皆さんからの声を「ひろば」に寄せてください。一緒にこの問題を考えていきましょう。
「スポーツのひろば」2026年7・8月号より
