スポーツをする人のための腰痛対策〈2〉

日常の姿勢が原因の腰痛と対策

現代の日常生活にデスクワークはつきものです。スポーツマンでもデータの整理や、練習や試合のお知らせなど、デスクワークやパソコン作業は避けられません。

仕事をしていなくても椅子に掛けている時間は長いのではありませんか? 机やテーブルの前で作業しているとき、テレビを見ているときの自分の姿勢を考えてみてください。

もし上の図のように前かがみになって背中が丸くなっていたら、すでに腰が痛いか、遠からず腰痛になります。最初は筋肉の疲れや筋膜のよじれぐらいですが、ひどくなると椎間板に異常が出てきます。

椎間板は繊維状の軟骨からなるドーナツ型の組織です。その内側にゼリー状の髄核が収まっていて、身体を動かしたときの衝撃を吸収する役割をしています。前かがみで背中が丸い姿勢を長時間続けると、髄核が変形して後ろへずれ、ひどくなると神経を圧迫し、ギクッという耐えられない痛みになります(図5)。

前かがみの姿勢から起きる腰痛を改善する、立ったままできる体操が「これだけ体操」です(図6)。両足を肩幅くらいに開き、膝を曲げないようにして、息を吐きながら上体をできるだけ反らします。この姿勢を3秒間保持します。腰痛の回復にも、予防のためにも、この「これだけ体操」を日に数回やってみましょう。

うつ伏せになる場所があれば、マッケンジー体操(ニュージーランドの理学療法士ロビン・マッケンジーさんが考案した体操)が効果的です。まず、「肘立て体操」は、うつ伏せの姿勢から肘をついて上半身を起こし、背中を反らせます(図7)。

エジプトのスフィンクスに似ているので、ヨガでは「スフィンクスのポーズ」と言います。この姿勢を保持しますが、保持する時間は10秒から2分間くらいまで、自分の体調に合わせて行います。一日に6?10回ほど繰り返してください。

もう少し反れるようになってきたら、「上体反らし体操」で背中の反りを強くします(図8)。肩から腰にかけて柔らかく湾曲するように反らすのがポイントです。

腕立て伏せではないので、背中が板のようにまっすぐでは意味がありません。大事なのは背中が湾曲することです。肩よりやや前に手を突いてもかまいませんから、背中が湾曲するように反ってください。ヨガでは「コブラのポーズ」と言います。

「肘立て体操」や「上体反らし体操」が終わったら、その後でリラックスのポーズを入れます。膝を開いて四つん這いになり、両手を前に伸ばします。息を吐きながら背中を伸ばしてリラックスします。ヨガでは「チャイルドポーズ」と言います(図9)。

昔は腰痛になったら、エビのように体を前屈して、後ろへ反るのは厳禁、できるだけ安静にして寝ているのが常識とされていました。しかし、今は違います。腰痛があってもできるだけ体を動かし、ふだん通りに日常生活をするよう勧められます。血流を良くしてコリや痛みを減らし、ストレッチで体を柔軟にし、「動ける柔らかい身体」を目指しましょう。

<参考文献・資料>
日本整形外科学会・日本腰痛学会監修「腰痛診療ガイドライン2012」南江堂(2012年)
「労災病院等医療研究普及サイト」のホームページ(松平浩先生監修の書籍・資料)

「スポーツのひろば」2016年12月号より

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