スポーツ映画レビュー「アイ・コンタクト」

監督/中村和彦
2010年日本
製作・配給/アイ・コンタクト製作委員会
文部科学省特選


近年「パラリンピック」の規模・スポーツ精神的な意義は、徐々に「オリンピック」に近づきつつあるようだが、この映画の主題となっているのは「デフリンピック」。国際ろう者スポーツ委員会が主催するスポーツ大会で、IOCより「オリンピック」の名称使用を許可された競技会の一つだ。

その歴史は1924年のフランス大会が最初と意外に古いが、社会的な認識はまだまだの感もある。やはり”ろう者”を”障がい者”と同じように片付けてしまう…。人々の認識が浸透していない現状では、避けられない課題といえるかもしれない。

内容は、09年台北で開催された「夏季デフリンピック」に参加した選手と、それを取り巻く周りの人間に大きく焦点を当てたドキュメンタリー。単純なスポーツ、競技という観点を望むとテーマとしては肩透かしを食らうかもしれない。だが、改めて人が人と出会い、そしてスポーツと出会うきっかけは、一つのドラマだ。特に、この劇中で語られる〝ろう者と競技の出会い〟

人同士の出会い〟というドラマは、改めてスポーツの意義の大きさ、そして人とスポーツをすることの意味を、改めて考えさせてくれる。

本誌でも一度、「ブラインドサッカー」を取り上げたこともあるが、ろう者サッカーでは、一切通常のルールとの差はない。が、劇中で意識的に作られた「音のない世界でサッカーを行なう」シーンは、ろう者がこの競技を行なうことで、聴こえないはずの音を〝聴くことができる〟それに近い感動を受けていることを表しているかのようだ。(桂伸也)