スポーツ映画レビュー「マネーボール」

〈 監督 〉ベネット・ミラー
〈 脚本 〉スティーヴン・ザイリアン アーロン・ソーキン
〈 原作 〉マイケル・ルイス 『マネー・ボール』
〈 出演 〉ブラッド・ピット ジョナ・ヒル
2011年 アメリカ


貧乏球団を強豪にする。そんなスポーツ映画はこれまでにもたくさん作られており、ありふれたサクセスストーリーといえばその通り。ただ、この映画がやや特殊なのは、ストーリーが約10年前のメジャーリーグの実話だということ。そして、彼のチーム作りの方法が他球団でも採用されて、野球選手の評価や野球の見方に革命を起こしたことにある。

例えば、野球で「良い打者」とは、打率が高い、ホームランが多い打者のことだろう。しかし、そうした選手は年俸が高く、貧乏球団は獲得できない。そこで目をつけたのが出塁率(安打数+四死球/打数+四死球+犠飛)だ。100打数30安打5四死球の3割打者と、100打数25安打13四死球の2割5分の打者がいれば、一般的には前者が高い評価をうけるが、出塁率でみるとなんと後者の選手の方が「良い選手」となるのだ。

ブラッド・ピット演じるアスレティックスのジェネラルマネージャー、ビリー・ビーンは、打率は低いが出塁率が高い打者、球速は遅いがフォアボールが少なく内野ゴロを多く打たせる投手など、年俸は安いが隠れた「良い選手」を集め、チームを強豪へと育てていくのである。

予備知識がなくても、映画を楽しむことはできるが、「セイバーメトリクス」について予習してから観ると、より深く作品の内容を理解できる。テレビの野球解説に物足りなさを感じている人には必見だ。(中村哲也)