スポーツ映画レビュー「プライド in ブルー」

〈 監督 〉中村和彦
〈 ナレーション 〉寺田農
2009年 日本


2006年8月、ドイツで行われたINAS-FID(国際知的障害者スポーツ連盟)サッカー世界選手権に出場した日本代表選手たちに密着したドキュメンタリー映画。もうひとつのワールドカップと呼ばれているが、パラリンピック以外でこんなに世界的な盛り上がりを見せる障害者スポーツがあるとは正直知らなかった。特に、地元サッカーファンの応援がすごい。自国ドイツの試合だろうと、どこの国だろうと関係なく、大きな声援を送っている。

「もうひとつのワールドカップがあることを知って、僕は初めて夢を持てた」

ゴールキーパーの加藤隆生選手は、その夢を持つことによって、ずっと拒んでいた養護学校に行くようになった。日本代表チームに入るにはどうすればいいのか、家族も懸命にバックアップをする。加藤選手のお父さんは言った。

「ちらっと光ったものを最大限に生かしてあげたい」

国内4千人余の知的障害者サッカープレイヤーの思いを胸にドイツに飛び立った代表選手と家族、そして周囲の人々の声がぎっしりと詰まっている。「軽度の障害を持った人は、社会から誤解をされやすい」「『障害』という言葉を重く受け止めてしまう」という話があるなか、障害者も健常者も同じピッチでプレイしているドイツのサッカーチームのコーチは「スポーツを愛する人間であれば、障害の有無など関係ない。誰もがチャンスを持っている」と語る。

スポーツを通して、本当のバリアフリーとは何なのかと考えさせてくれる作品だ。(佐藤信樹)